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★概要

Valhalla Reference Power Cable(ヴァルハラ・リファレンス。以下、VALHALLA)は、アメリカのNORDOST社が製造する電源ケーブルである。ODINが登場するまで長らく同社のフラッグシップだったモデルであり、現在でもNORDOSTブランドの中核をなしている存在だと言えるだろう。日本国内では、STEALTH DREAMと並ぶ音場型ケーブルの雄として有名であり、音場型ハイエンドケーブルの代名詞として語られることも少なくなく、いわゆる海外ハイエンドの他、ESOTERICやAETなど国内の高級ケーブルなどと比較されることもある。

徹底して物理特性の高さを追求していることでも知られており、ネット上でSpecificationが公開されている数少ない海外ハイエンドケーブルの1つでもある。

[価格]

M.S.R.P.:2,699USD(1m)

600USD/1.0m additional

[Specification]

Construction: Precision dual micro mono-filament

Insulation: FEP

Conductors: 7 x 16 AWG

Material: 70 microns of Silver extruded over 99.999999% OFC solid cores

Connectors: Gold-plated IEC Wall plugs: US/UK/EUR

Propagation Delay: 91% Speed of light

Power Rating: 60 Amp

Capacitance: 8pF/ft

DC Resistance: 1.3 Ohms per 1000ft/304M as terminated

[参考サイト]

http://www.nordost.com/32/valhalla-reference-power-cable

[外見・取り回し]

細くて引き締まった線体が特徴的なケーブル。シルバーコーティングがされた8N銅をビニールで覆った極めてシンプルな構造のケーブルで、導体を外から見ることができる。また、プラス・マイナス・アースによってそれぞれ赤・黒・緑のビニール線が巻きつけてあるらしく、それがささやかなカラーリングとなっている(ちなみに、緑のラインは外からは殆ど見えない)。取り回しは、ハイエンドの中では良い部類。硬いは硬いが、そうは言っても細いので、曲げるも捻るもさして苦労はしない。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

音場型・寒色系のケーブル。繊細でキレのある描写を得意とするケーブル。音場の広さはShunyata Research King Cobra CX以上、TRANSPARENT PLMM2X以下といったところか。音像が引き締まっているため、実際の広さ以上に開放感がある。また、温度感についてはSTEALTH DREAM V.10より暖、トラペPLMM2Xより寒といったところだと感じる。銅素材をメインに用いたケーブルとしては最もクールな部類に含まれると感じるが、銀素材をメイン使用したケーブルと比べると、さすがに温度感がある。同様に、音の質感にも銅特有の張り、キレ、鋭さがあり、銀ケーブルにあるような粒子感や余韻は控えめだと感じる。弦楽器の伸びは見事。このあたりにも、STEALTH DREAM V.10などとのタイプの違いが見いだせる。

[基本性能]

基本性能総合: ハイエンド上級

解像感:4.5

情報量:3.5

S/N感:4.5

情報コントロール力:4

周波数レンジ感:4

帯域バランス:4

汎用性:3.5

音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

本企画では、ハイエンド上級クラスの実力をもつケーブルと評価している。音の数が少々少ないのと、その他いくつかの理由からハイエンド入門として位置づけるべきかとも思ったが、持ち前の解像感とステージ展開の巧さに加え、S/N感と音の分離感の良さを踏まえて、1ランク上に位置づけた。低域が弱いという評価をしばしば耳にするが、これはおそらく重心の高さと低域の量感が絞り込まれているためだと感じる。少なくとも、鳴る・鳴らないの次元ではさほどナローだとは思わなかったため、周波数レンジ感については巷の評判よりも高評価にしたつもり。だが、確かにパッと聴いた感じではハイ上がりなので、帯域バランスはそこそこ評価になった。音の分離感は極めてよく、ステージの密度と音像の厚みを考慮に入れなければ最高クラスだが、より密度が濃くて像も厚いBLACK LABEL IIIやAllegroの頑張りが目覚しいので、格付けはこれらと同等としている。

[主な特徴]

  1. キレ・伸びが抜群の高域

上でも触れたが、VALHALLAの高域は抜群のキレと伸びを誇る。反応速度が極めて速く、音像の立ち上がり・消え際共に、非常にスピーディである。これは、NORDOSTの物理特性への追求が結実した結果だと思われ、確かにこのレベルのキレの良さを実現できているメーカーはNORDOSTをおいて他にないと思われる。正直、レスポンスの良さはJORMA DESIGNのケーブル以上。

さらに、高域方面のレンジ感の良さもVALHALLAの特徴である。このVALHALLAは、低域方面のレンジ感こそアレグロやJORMA PRIME POWERのようなスーパーハイエンドに及ばないが、高域方面のレンジはこれらと互角か、場合によってはそれ以上の力を発揮する。歪みを感じさせず、上の上まで伸びきってゆく高域は美しい。

  1. 広く澄み渡った音場

広さについては、性能やタイプの章で説明したので、割愛する。

さて、上でVALHALLAは、音数は少なめで粒子感も控えめであると書いたが、その特性とS/N感の良さが結果するもう1つの特徴として、音場の見晴らしと透明感の良さがある。音楽性や個性云々ではなく、純粋に優れた物理特性がもたらした結果ではないかと思う。

  1. 細身で軽やかな低域

音像が細身であることはこれまでも述べてきたが、ここでは特に低音が細身であることを強調しておく。上でも述べたが、VALHALLAの低音は、必ずしもナローレンジではない。確かに、低域はあまり得意な帯域ではないが、例えばデジタル機器に使用する分にはSTEALTH DREAM V.10と同等程度には下まで伸びるし、軽やかさやフットワークの良さについては、かなり良い部類に含まれる。また、同価格帯のシナジHologram Dなどよりも低くまで出ると思われる。逆に、電力消費の大きいアンプなどに使用すると、量感の不足やレンジの伸び悩みが目立つ感がある。軽やかと言えば聞こえはよいのだが、苦しい場面もあるだろう。

[ポジショニング]

ポジションについては、圧倒的にアンプ意外の小電流のポジションを勧める。デジタル系にせよプリにせよ、持ち前のキレや繊細さを活かしやすいポジションに入れるべき。アンプに入れると、どうしても短所である低域のエネルギー不足が露呈し、アレグロやトラペPLMM2Xに力負けする印象がある。適材適所とはいったものだ。