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★概要

STEALTH Sakra(ステルス・サクラ)は、アメリカのSTEALTH audio cables社の製造・販売するインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップブランドである。世界のトップブランドがフラッグシップモデルの高性能化・ハイバランス化を図る中にあって、Indra Rev.08をベースとして開発された。

現行モデルはV.12と呼ばれるシリーズであり、弟分であるIndra V.10と共に世界に冠たるインターコネクトとして名を馳せる。製造・販売期間がIndraブランドと比べて短く、特に発売時期がリーマンショック後であったこともあってか、国内ではIndraと比べると語られる機会が少ないケーブルであるようにも感じるが、Indraと比べても基本性能・完成度共に優位にあり、よりフラッグシップ然とした存在だと言えよう。

[価格]

国内参考価格:1,400,000円(XLR 1m、税別。出典:ダイナミックオーディオ)

 本国価格:13,000USD(XLR 1m。出典:STEALTH社公式HP)

[Specification]

・Amorphous conductive media (wire)・Ultra thin wire・Proprietary non-resonant cable geometry
・Characteristic impedance control

・Ultra low energy storage dielectric

・Proprietary STEALTH connectors

・Advanced termination technique

[参考サイト]

http://www.stealthaudiocables.com/products/Sakra/sakra.html

 

[外見・取り回し]

弟分であるSTEALTH Indraと非常によく似た外見のケーブルであるが、中央部が太く、両端部が細くなっている点Indraには認められないSakraの個性であり、昨今のトップエンドに多く見受けられる構造でもある(V.12では、片側のみになっている模様)。Indraほどには、外見と音がマッチしていないというのが我々の見解。後述するが、Sakraの音はIndraのそれと比べるとニュートラル・ハイバランスで、外見ほどには華やかだとは感じない。

さて、取り回しの良し悪しについてであるが、これはIndraに負けず劣らず良く、同価格帯のケーブルの中でも非常に良い部類であろう。両端部が細くなっている点は高評価だが、同様の構造をとっているSTAGE III GRYPHONNBS BLACK LABEL IIなどと比べて、中央部の取り回しも明らかに良い。尚、外見が純白で汚れに対して気を遣う点についても、Indraと同様。中古購入に際しては、予め汚れの有無・程度について確認した方がよいだろう。

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左がIndra V.10、右がSakra

★音質レビュー

[概要・タイプ]

音場型・微寒色系のケーブル。弟分であるIndra V.10は、はっきりと音場型・寒色系のケーブルと感じたが、このSakraについてはもう少しバランス型に寄ったケーブルだと感じられる。だが、ライバル・GRYPHONJORMA PRIMEなどと比べると、やはり音像表現よりも音場展開の優位が際立つ。無論、STEALTHのインコネらしい銀ベースのしなやか・軽やかな音作りは健在で、トラペOPUSPRIMEなどと比べて若干、寒色寄りの音を出す。

音場展開力はさすがで、STEALTHらしく広大で閉塞感のない表現が魅力的だが、Indra V.10と比べると音像は前に張り出し、側方が広がる逆に、前後はIndraより狭い。総じて、Indraが奥行き重視・実体感控えめなタイプのケーブルなのに対し、Sakraは良くも悪くもそれをニュートラルに寄せたものであり、Indraが好きな方もいるだろう。他社のケーブルも交えると、SakraのステージはOPUSのそれに近く(後述)、IndraはむしろPRIMEGRYPHONのそれに似ている。

音色は、上でも書いたがニュートラル寄りの寒色系。基本的にはSTEALTHケーブル(シルバー・ゴールド合金)のそれであり、Indraとそう大差はないようにも思えるが、Indraよりも音像描写にメリハリがあり、別の言い方をすればヌケの良さ一辺倒ではない分、若干こもったような温度感は感じた(あくまで、Indraと比較してのこと)。ただ、OPUSSeraphimのようなコッパーベースの音色とは異なり、やはりシルバーベースの音色。正直に言ってしまえば、Seraphimとはこの音色面のバランス差から格の差がついている印象だ。

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:MAX

S/N感:5

情報コントロール力:4.5

周波数レンジ感:5

帯域バランス:5

汎用性:4.5

音の分離感:4

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

基本性能の項目として挙げた多くの要素について、Indra V.10を明らかに上回る実力を有する。まず、総合力については文句無しにトップクラス、すなわちスーパーハイエンドと評するに相応しい水準で、JORMA PRIMEやライバルのSTAGE III GRYPHONと並び、TRANSPARENT OPUSZenSati Seraphimに追随する。

聴感上の情報量についてはPRIMEを凌駕し、OPUSSeraphimと並ぶ最高評価。音の数自体はSeraphimに若干劣る印象を受けるが、各音の解像感についてはOPUSPRIMEと並ぶだろう。ただ、これは同社のIndraにも共通する点であるが情報の、特に響きや余韻のコントロールには少々難があり、時折その圧倒的な量感に負けてしまう場面が見受けられる。また、PRIMEGRYPHONと比べると各音のメリハリ(強音と弱音の描き分け)に乏しい。Indraでは更に顕著だが、STEALTHのケーブルは全体的に音がシナヤワで、硬音の密度・キレが控えめだ。実測したわけではないが、聴感ダイナミックレンジについてはPRIMEGRYPHONに劣る。

聴感S/Nについては、前身であるIndra Rev.08と比較すると明らかに改善されている他、同世代のIndra V.10と比べても上回っていると感じられる。V.12に至っては、更なる改善が認められるとの噂を耳にするが、定かではない。しかしながら、専用のノイズ対策装置を搭載したOPUSPRIMEなどと比べて劣る水準である他、僅かながらライバル・GRYPHONにも劣る印象があることから、最高ランクには値しないと感じた。

帯域バランスはかなり良い。OPUSPRIMEと比べて最低音域のピント・音線が甘い点を除けば、これといった文句は浮かばない。Indra V.10ZenSati Seraphimと比べると質・量共に低音域は強く、バランス的には若干のピラミッド型だが、通常のピラミッド型が最大の弱点とする低域のもたつきと解像感の悪化を伴わない。低音域の厚みと俊敏性の両立という観点からすると、最も優秀なケーブルの1つではないだろうか

このように、全体的な基本性能はIndra V.10と比べて高く、汎用性も大きく改善されているが、あくまでSTEALTHケーブルの域にあるという点は注意。やはり、OPUSSeraphimのような、真に高品位な銅ケーブルと比べると、どうしてもヴォーカルや生楽器のリアリティに劣る他、ライバルのGRYPHONと比べて強弱のメリハリに乏しいことから、汎用性については上の評価とした。

総じて、名門STEALTHのフラッグシップとしての地位を任されるに相応しい能力を備えた名機であり、今後の時代を牽引する存在として期待が膨らむ。新型であるV.12の入手に向けて努力したいところだ。

[主な特徴]

1.基本性能とらしさ(個性)の両立

既に散々述べたことであるためここでは省略するが、Sakraは非常に高い基本性能を備えながらも、同時にSTEALTHというメーカーの個性を強くシステムに反映する(音像の質感と音色の双方で顕著)。現状、このSTEALTHらしさは多くのオーディオファイルから支持されている。ただし、音にSTEALTHらしさを持ち込んでいることは、裏を返せば汎用性の低下を招いてしまっているということでもあるため、ピュアの観点からケーブルを選別する際には注意が必要。不安な方は、トラペOPUSZenSati Seraphimのような、世界的にリファレンスとしての地位を確立しているケーブルと聴き比べてみるのがよいだろう。違いがよく分かる。

2.最高レベルの情報量

Indra V.10のページでも似たような書き方をしているのだが、Sakraのそれは世界トップクラスそのものという意味において、Indraよりワンランク上の話として考えていただいても差し支えはない。Indra V.10の場合、各音の解像感よりも音の数自体(特に弱音の描写)を強みとしたのに対し、Sakraはそれに加えて更に解像感(特に低域)も強みとしている印象で、聴感S/Nも1ランク上である。

3.TRANSPARENT OPUS MMに迫る音場の広がり

予め言っておくと、Sakraは情報コントロール力、聴感S/N、音像の実体感・定位感、各音の分離感に関して、OPUSに惨敗する。これらは、広がりとは別にステージ展開における重要な要素だと思うので、その点はお断りしておく。

しかしながら、こと音場の広がりに関しては、SakraはOPUSに迫るだと言えよう。縦深では若干劣るも、上下・左右の広がりについてはOPUSに一歩も引けをとらないレベルにあり、主に高音のヌケの良さからくる開放感はOPUSを上回っている。STEALTHケーブルはどのモデルも音場の広がりと開放感には定評があるが、その中でもSakraは左右の展開についてはずば抜けている。逆に、奥行きからくる3次元的な前後感についてはOPUSの方が優れていて、このあたりは同じSTEALTHケーブルでもむしろIndra V.10の方が巧いだろう。

4.強い低域とスピード感の両立

Sakraの低域は、Indra V.10のそれに比べると質・量共に1ランク強い。Indra V.10が「バスッ!」というような低域ならば、Sakraは「ズンッ!」といった感じ(加えるならPRIMEは「ビシッ!」で、GRYPHONは「ズムッ!」といったところか)。密度感は他のスーパーハイエンドに譲るものの、ステージ全体を揺らすような厚みと深さはSakraならではのものがある。不思議なのは、(上でも触れたように)この分厚くて深い低音が十二分に俊敏である点。かなりはっきりとスムーズ。正直、言葉でうまく伝えられる自信がないため、機会があれば試聴してみていただきたいが、上質でありながらさりげなく、使いやすい印象を受ける。正直な話、この低域を得るためにSTEALTHは相当に実験を繰り返したのであろう。Indra V.10にも通じるものがある。

[ポジショニング]

予め申し上げておくと、どのインコネをどこに入れるのがベストな選択肢であるかは、一般論以上に具体的なシステム構成からお考えになるべきで、こちらでの説明はあくまでついでのものであることをご理解願いたい。以下、本文。

Sakraは高性能・ハイバランスのケーブルであるため、音色面の好みと一致するようであれば、どこに導入しても後悔は少ないと思われるケーブル。ただし、音色はあくまでSTEALTHなので、導入前に一度貸し出し試聴をされることを勧める。

システムにSTEALTHケーブルを使用する場合、特にプリ・パワー間にIndra(ヴァージョンは問わない)を配置するならば、DAC・プリ間の選択肢として最適な1本として推奨したい。格上のTRANSPARENT OPUSを使用した場合以上に、Indraの美点・個性が活かされた。また、SILTECH Royal Signatureシリーズをメインで固めているシステムで、もう少し柔らかさや暖かみが欲しいという場合には、これまた良い選択肢となるだろう。

[主な比較対象]

STEALTH Indra V.10(弟分)

TRANSPARENT OPUS MM(格上のライバル)

ZenSati Seraphim(格上のライバル)

STAGE III CONCEPTS A.S.P. REFERENCE GRYPHON(ライバル)

JORMA DESIGN PRIME(ライバル)