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★概要

JORMA PRIME XLRは、スウェーデンのJORMA DESIGNが製造・販売するインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップである。Stealth Indraなどと同様に100万円クラスの価格帯に属するケーブルであるが、同価格帯でも屈指の実力を誇る傑作であり、別格視されることも多い。基本性能とは別に、“自然な音のケーブル”として極めて高い評価を誇っているのも事実で、数あるケーブルの中でもこのPRIMEこそNo.1とするオーディオファイルも少なくない。日本国内のオーディオファイルには、PRIMEを“ケーブルスパイラルの終着点”であると考える方もいるようだ。

[価格]

国内参考価格:1,041,600円/1m

[Specification]

・ JORMA PRIME共通事項誘電体:無色高純度テフロン

導体材質:純度 99.999999%銅 (酸素及び他の不純物を除去)

導体構造:セラミックファイバーを芯にした多芯線構造

クリンピング・スリーブ材質:ポリオレフィン

シールド材質:錫メッキ銅

メッシュ材質:ポリエチレン(PET)

 

・JORMA PRIME XLR インターコネクトケーブル

コンダクター数:3 (+,-, GND) x 1pc. (1チャンネルにつき)

コンダクター断面積(Conductor 0.5mm2/pc):3 (+,-, GND) x 0.5mm2 (1チャンネルにつき)

シールド断面積:2 重x 4.2mm2 , RFIとEMI除去率約99%

ウォルナット・ボックス(1個につき):バイビー・ゴールド・スリップストリーム・クァンタムピューリファイアー x 2pcs 内蔵

[参考サイト]

http://www.cs-field.co.jp/brand/jorma/products/prime.html

[外見・取り回し]

初めてこのJORMA PRIMEを手にとった時は、その華奢な線体に驚かされた。PRIMEと言えば、Stealth IndraやNBS BLACK LABEL IIを凌ぐ世界最高峰とすら評されるケーブルであり、ボディもそれなりの硬さや重厚感を備えたものではないかと予想していた。しかし、実物は華奢でしなやか、さらにゴールドの被覆が煌びやかで美しいというまさに“美形”のケーブルであり、内心では密かに拍子抜けしたものである(無論、この無礼な感想は、音出しを行なった途端、吹き飛ばされたわけだが、※)。

そんなわけもあり、十分な長ささえ確保できれば、接続には全くと言ってよいほど苦労しない。強いて言うならば、線体中央付近に位置するウォルナットボックスに傷や凹みなどを付けないよう気を遣う、といった程度なのではなかろうか。取り回しについては高評価。

※余談だが、弟分のORIGOは被覆が銀色になっている。この被覆のカラーリングが音色面のテイストにも反映されているあたり、面白い。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

ニュートラル型・ニュートラル系のケーブル(つまり、音像・音場あるいは暖色・寒色の観点からみて中庸)。弟分のORIGOと比べると、音場表現は近いものがあるが、音色については若干暖色寄り(どちらもニュートラルの範疇ではある)。これは、PRIMEにのみ搭載されたクァンタムピューリファイアーの影響だと思われるが、艶が出てリッチ・煌びやかなテイストを感じる。

基本的には音場・音像表現共に純銅ケーブルのそれであり、シャープでキレがある高域、解像度の高い中〜低域といった点は、例えばESOTERICの純銅線などとも共通する点なのではないかと思う(このあたりはむしろ、弟分のORIGOにおいて顕著な気もするが)。問題は、ステージ表現力の優秀さとS/N感の良さで、国産の純銅線は無論、他社の100万円クラスの多くと比べても優れたパフォーマンスを発揮する。

まずS/N感の良さについてだが、これはクァンタムピューリファイアーの影響が顕著な印象。下位のORIGOとの差からそのように結論づけている。詳しくは後述するが、微弱音の浮き上がりっぷりが凄い。

音場については、上下・左右はほどほどに、むしろ前後の広がりを意識していると感じる。S/N感の良さもあり、音像の前方定位に優れる印象。音像を前に張り出させることで像の実体感を出すケーブルが多い中、ステージの広がりを大事にしながら、むしろ音の締まりとS/N感の良さにより音像の実体感を保つPRIMEは、随分と扱いやすい存在だと思う。恐るべき広がり、というよりもむしろバランスの良さを感じる。

音像は、上での述べたように純銅線らしいソリッドさと解像感のよさがあり、S/N感の良さからクッキリハッキリと描写されるものの、前に出てこないため、ことさらに強烈な実体感を主張しない。前方に張り出す実体感が欲しいなら、NBSやPurist Audio Design(PAD)のケーブルを選ぶべき。

音色は、高品位な純銅のそれをベースとし、そこにクァンタムピューリファイアーの音色と響きを加味したものといった印象。ORIGOと比べると艶っぽく、金ピカな印象のする音。この艶はそれなりに癖の強いもので、良く言うなら美しく、悪く言うならいびつ。はっきり言って、同じように明るくリッチなテイストを演出するZenSati Seraphimと比べると、不自然さは目立つ。この色による汎用性の低下は、コスパの良し悪しと並び、実用の次元でPRIMEではなくORIGOを選択するユーザーが多い理由でもあるだろう。

 

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:5

S/N感:MAX

情報コントロール力:5

周波数レンジ感:MAX

帯域バランス:MAX

汎用性:MAX

音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

ご覧いただければ分かるように、基本性能の全分野について極めて高いレベルを誇る。特に、周波数レンジ感と帯域バランスに関しては、現時点(2013年夏)で、我々が知る範囲内では唯一TRANSPARENT OPUS MMと肩を並べる存在として、弟分のORIGO共々、MAX評価を下している。帯域アンバランスとは最も縁遠いケーブルの1本だと思われ、全体域にわたって音の厚みがほぼ均質である点は、ブレの小ささ・安定感と、最低域まで一気に急降下・急上昇する低域のスピード感を両立させている。スリリングでありながら信頼感を抱けると言ってもよいだろう。

上で述べた周波数レンジ感と帯域バランスに加え、解像感とS/N感に関しても桁違いのパフォーマンスを発揮し、特に解像感についてはOPUSやStealth Sakra、ZenSati Seraphimに並ぶ。ただ、情報量それ自体についてはSakraやOPUS、あるいはSeraphimの方に分があると感じる。Primeの場合、音の数が多いというより、一音一音を丁寧に描くタイプであるためだろう。

さて、情報コントロール力と音の分離感については確かに高評価ではある(※)ものの、OPUS以外にもPRIMEを上回るケーブルはあると考えている。例えば、STAGE III GRYPHONはこれらの点についてPRIMEを上回るパフォーマンスを発揮するだろうし、OPUSの下位にあたるトラペのReference XLについても、同等かそれ以上の力量を備えている印象だ。しかしながら、他の要素を含め総合的に評価するならば、それらが明確にPRIMEを上回る印象はない。

※JORMA ORIGOと比べて段違いに優れる点は、特筆に値する。

無論、あるケーブルのシステムに対する貢献度は、最終的にはシステム構成に依るものであるため一概には断定できないが、(定価ベースでのコスパも含め)世界をリードするケーブルの1つだろう。

[主な特徴]

1.世界で勝負できる基本性能

今更こんなタイトルをもってきていることについて首をかしげていらっしゃる方も多いと思うが、別に血迷ったわけではない。

我々の知る限りにおいて、基本性能の高さを前面に出して勝負できている、言い換えるならこれといった個性によらず勝負できているケーブルは少ない。欧米の市場では特に、明確な個性・アピールポイントのないケーブルは容赦なく埋もれるし、つまり基本性能の高さで勝負するためには、基本性能とそれ自体が明確なアピールポイントになるレベルで優れていなければならない上、個性に傾斜しないバランスの良さも問われてくる。そして、PRIMEはそれができる数少ないケーブルの1つだと思っている。

はっきり言って、ほとんどのケーブルはこの次元には至っていない。そもそもの基本性能からしてトップクラスに明確に劣る国産や海外ミドルエンドは無論、堂々たるハイエンドと世界的に認知されているSTEALTH IndraやNBS BLACK LABEL II、あるいはPurist Audio Design(PAD) Canorusですら、一聴してメーカーレベルの個性が色濃く反映されている印象を受けるし、その個性から離れて市場で勝負できるかは甚だ怪しいものである。つまり、良く言うなら強烈に魅力的な個性を備えたケーブル、悪く言うなら一発屋である。

しかし、我々の知る限り、コッパー系の最高峰ブランドであるTRANSPARENTやNORDOST、シルバー系の最高峰であるSILTECH、あるいはメーカーとしての格は多少下がるもののやZenSatiやJORMA DESIGN、あるいはArgento Audioなどのフラッグシップ級の場合、一聴してまず感じるのは基本性能の高さであり、メーカーの個性については一拍遅れて認識される印象だ。おそらく、癖の少なさと高性能の双方がもたらした感想であろう。PRIMEについてもその例に漏れず、まずもって感じたのは圧倒的な解像感と帯域バランス、そしてレンジの広さだった。個性と言いうる艶・響きは少し聴き込めば認識できたが、それもデコレーション程度のもので、総じて基本性能の高さありきである。

このような優れた基本性能を前面に出してくるタイプのケーブルの特性として、複数セット使用時の副作用の小ささがあるだろう。早い話が、個性らしい個性を前面に出さずとも買い手が付くため、バランスの良さ・無個性を維持できるのだ。例えばPurist Audio Design(PAD)ケーブルは、システム全体をPADで固めた場合、強烈な個性によってシステムを支配しかねないが、TRANSPARENTやJORMAのフラッグシップ級ともなるとその傾向は抑えられ、複数セットでの使用はむしろシステムのポテンシャルを顕在化させる(但し、そもそものコンポ構成が好バランスであることは前提となる)。

このあたりは、基本性能の高さで勝負できるケーブルと個性を前面に出さなければ勝負できないケーブルの格の差とでも言うべき点であり、もっと言えばメーカーそのものの格の差とも言えるのではなかろうか。ラインケーブルにとって重要な性能的要素であるダイナミックレンジやS/N比、あるいは極端に傾斜しない優れたバランス感覚。そういった要素を無視し、バランスの悪さを「個性」として拡大解釈して(ねじ曲げて)売り込みを行うメーカーは、少なくない。正直、オーディオマニア、特にケーブルマニアの多くは面白いものや変わったものが好きなので、とりあえず買ってしまうケースも多かろう。しかし、それらは本当の意味で頼りになる存在ではないケースがほとんどであり、もっと言えばリファレンスとして使用する価値は無に等しい。

 まとめると、我々はJORMA PRIMEについて、世界でもトップレベルの基本性能を誇りつつ、同時に余計な個性や脚色を可能な限り抑えることでバランスの良さも確保した、リファレンス的存在として評価している。

2.クァンタムピューリファイアーの搭載

クァンタムピューリファイアー(以下、CP)の効能は、主にS/N感の向上と艶・響きの付加だが、これは主に、同一の導体を用いながらCPを搭載していないJORMA ORIGOとの比較から得られた感想である(タイプの説明で既述)。

余談だが、専用の回路や装置は反則、あるいは音を改悪するとの批判はあるが、我々が聴いた範囲ではむしろOPUSやPRIME、あるいはMITのORACLE MA-X(数日のみ運用)などの回路付きはむしろ優れたパフォーマンスを発揮する印象で、そういった工夫については比較的前向きな見解をしている。

[ポジショニング]

基本性能・信頼性共に非常に優れたケーブルであるため、ポジションを選ぶ印象はない。ペアとなるラインケーブルとの相性や、個性の強弱によって使い分けたら良いのではないだろうか。PRIMEの完成度は非常に高いので、ペアの能力や個性を優先的に考慮してセッティングするのが良いと思う。

[主な比較対象]

TRANSPARENT OPUS MM(格上のライバル)

ZenSati Seraphim(ライバル)

JORMA DESIGN ORIGO(弟分)

STEALTH Sakra(ライバル)

STAGE III CONCEPTS A.S.P. Reference GRYPHON(ライバル)

TRANSPARENT Reference XL