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★概要

PowerLink MM2X(パワーリンクMM2X。略称:PLMM2X)は、アメリカ合衆国のTransparent Audio社の販売する電源ケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。JORMA DESIGNのPRIME POWERやMITのORACLEシリーズなどと同様に、専用の回路およびボックスを搭載した個性的な外見が特徴であり、またその極めて強力なノイズ対策力でも有名である。尚、本モデルはPowerlink MMシリーズの3代目にあたり、初代や2代目と比べて、ボックスの周辺部などが改善されているようだ。

ケーブル界でも屈指であろう極めて高い基本性能を備える反面、国内定価は良心的に設定されており(Kimber PK-10 Palladianとほぼ同額)、ケーブルそれ自体の能力のみならずコストパフォーマンスも良い銘機である。

 [価格]

日本国内参考価格:240,000円~

本国定価:2,100USD~

 [Specification]

•Standard termination: 15A grounded USA wall plug > 15A IEC

•Optional terminations: 20A grounded USA Wall Plug; 20A IEC; plugs for EU, UK, and other electrical systems available.

•Standard length: 2 meters

•Custom lengths always available.

 [参考サイト]

http://www.transparentcable.com/products/show_product.php?recID=52&catID=5&modCAT=1

 [外見・取り回し]

上述したように、ケーブル中央部に装着されたボックスが非常に印象的な外見のケーブルである(おそらく、この箱がなければよくある電源ケーブルだろう)。何が入っているのかは公開されていないが、このボックスに搭載された何らかの装置が優れたS/N感と関係しているのであろうという噂は根強い。

線体は、この手のシールドが施されたケーブルとしては太くて硬い部類に入ると感じられ、質実剛健な印象が強い。ただ、その点が取り回し時に問題となることは殆ど無く、むしろ問題となるのは上述したボックスの方である。このボックスは例えばJORMA PRIME POWERなどのそれと比べて重く、きちんと置ける場所を確保しなければ機器側のインレット周辺にかなりの負荷がかかるので、購入時はそのあたりは熟考されるべきだろう。

★音質レビュー

[タイプ]

音場型・ニュートラル系のケーブル。

音場型であると書いたが、音像の厚みや密度が小さいわけではない。むしろ、一音一音がどっしりと構えているあたり、下手な音像型ケーブルよりも音像は強い。むしろ重要なのは、まずもって音場が広い点、音像が静的な構えをとっている点(言い換えるなら動的ではない点)。これらの要素が無類の荘厳さとスケール感を実現しているのは事実だが、一方でハイスピード・躍動感豊かな曲の再生はやや苦手。例えば、PLMM2XをMIT ORACLE AC2と比べると、前者がオーケストラの合唱団、後者がダンスのチームといった感じであろうか。箱付きでS/N感のよい両者だが、その趣は対照的なものがある。ちなみに、そんな欠点がありながらも汎用性を高く評価しているのは、音色面の癖のなさとS/N感の優位が卓越しているため。その音色は恐ろしいほどニュートラルで色付け(ノイズによる濁りを含む)が少なく、おそらく業界でも一・二を争う汎用性を誇る。クラシックや古いジャズなど、アコースティックの音色を再現する力が問われる音源を相手にすると、その強さが際立つ。雰囲気の問題として多少のダークさは感じるが、偽物っぽい色付けは感じられない。また、同じような方向性のアレグロ電源ケーブルと比べると静的な分だけ温度感は低く、陰影が豊かである(この対比は、アレグロが若干明るく、温度感が高いケーブルであるせいもある)。余談だが、我々の企画ではこのPLMM2Xとアレグロを、音色面のリファレンスとして位置づけ、たびたび比較などで使用している。

 

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:5

情報量:5

S/N感:MAX

情報コントロール力:MAX

周波数レンジ感:4.5

帯域バランス:4

汎用性:MAX

音の分離感:MAX

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

いくつもの要素について最高クラスのパフォーマンスを発揮するケーブルであり、本企画でもスーパーハイエンドとして位置づけている。特に素晴らしいのはS/N感、音の分離感、情報コントロール力の3点で、これらの要素については他の追随を許さない。特に、S/N感と情報コントロール力は全ケーブルの中で(おそらく)最高クラスで(※)、フルオーケストラも悠々と統率するかのような再現力はさすが。また、音色面での脚色が少なく、汎用性にも優れる。情報量については、これについてはこのケーブルと同等か、それ以上の情報量を感じさせるケーブルはいくつかある模様(例えば、K. Racing DEVICE 0やSTEALTH DREAMなど)。

(※)STAGE III KRAKENの登場により、状況が変わりつつある。(2013/12/6、追記)

一方、帯域バランスはやや難がある。低域が強いのは結構なのだが、JORMA PRIMEやK. Racing DEVICE 0のように超低域まで掘り下げるタイプではなく、低域を膨らますタイプである点は気になる。クラシックの多重奏やオーケストラの演奏においては、荘厳さが出て大変に嬉しいのだが、超低域までフラットに落とすケーブルと比べると、どうしても低域がゆるくなってしまう印象が拭えない。この点さえ改善されれば、BMI OCEANIC STATEMENTをも上回る格の高さも期待できるだけに、残念である。

[主な特徴]

 1.極めて高いノイズ対策力

これについては既に幾度も述べたが、おそらくS/N感についてPLMM2Xは世界でもトップ。対抗できるとすれば、JORMA PRIMEとSTAGE III KRAKENくらいだと思われる。

 2.音色面の汎用性の高さ

これについても既に十分述べているので、ここでは割愛する。尚、生命感に乏しいとの批判が存在するが、本サイトは、このPLMM2Xは音色も寒色系ではなく、大人しいとはいえしっかりした生命感を備えているという見解を行っている。その根拠は、アコースティックの再現力。付け加えるなら、派手めで目立つ演出を行っていないのは、そうしなくとも通用するだけの基本性能の高さと音場・音像の精度があるからだと考えている(これは、昨今のスーパーハイエンドケーブルが総じて個性控えめ・高性能志向である点を考慮しての見解)。

 3.極めて優れた音像定位

PLMM2Xの描写する音像は、緻密なポジショニングを特徴としている。各音像は、音場全体における自らのポジションを性格に把握しているかのようにブレなく展開され、消えてゆく。こう言うと控えめな説明に聞こえるが、この精度の高さは並外れたものがあり、ケーブル界でもずば抜けていると言えよう(あまりに凄まじく、生命感が感じられないという批判すらあるほど)。

このPLMM2Xのもう一歩優れた点は、余計な演出を殆どすることなしに精密な定位を実現している点である。例えば、同じように音像定位に優れるNORDOST VALHALLAやPRIME POWERの場合、S/N感の良さに加えてビシッと決めてくる音像の実体感・インパクトで音像定位の良さをアピールしているきらいがあり、悪く言うなら、インパクトの強さでブレを誤魔化し、音像の定位感を確保しているとも考えられる。PLMM2Xの場合、このような演出が控えめだ。このあたりの小細工を排する姿勢は、上述した音色面の汎用性に直結する話であり、色付けを行わなくとも通用する基本性能の高さと共に、高く評価できると思っている。

 [ポジショニング]

性能面での使い勝手はほとんど文句のない水準で、デジタル機器だろうがA級パワーだろうが壁だろうが、どこに入れたとしても不足は無いと考える。したがって、あとは好みの問題だが、アンプに入れた場合により低音過多になりやすい傾向があるとだけ言っておこう。無論、低域の強さ自体が増す事は間違いなく (量感>深さ)、帯域バランスが気になる方は注意が必要。ちなみに、情報コントロール力の高さは低域についても言えることであり、ウーファーのコントロールが利かなくなりブーミーな音になる、という意味ではない。

尚、上述した通り原音忠実をモットーとした音色であり、それ自体で聴者を楽しませてくれるような個性は乏しいと感じたが、それは同時に、どこに入れたとしても「入れれば入れるほど音源の音色が前面に出る」という「個性」があるということでもある。したがって「どこに入れれば音はこうなる」というような明確な説明は適切ではないと感じているが、電力消費が大きい機器も悠々と駆動することから、そちらへの運用も前向きに検討する価値があるケーブルだろう。特に、ノイズ対策力が尋常ではないことから、壁から引いた場合は簡易的なノイズフィルタとしての役割も期待でき、音色面での癖のなさも相まって、他のケーブルに対するアドヴァンテージは大きいケーブルだと考えている。