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★概要

JORMA DESIGN ORIGOは、スウェーデンのJORMA DESIGNが製造・販売するインターコネクトケーブルである。NORDOST VALHALLAやArgento Audio FLOWなどと同様、50万円クラスの価格帯に属するケーブルであるが、その実力は同価格帯でも別格で、並の100万円クラス(※)は凌ぐ。

旗艦モデルのPRIMEをダウングレードしたモデルであり、クァンタムピューリファイアー(以下、CP)が除去されている他、被覆・木箱の素材が多少異なっているらしい。が、導体については同一のものを使用している他、被覆・木箱の形状なども非常に近いものがあると思われ、特に音場展開と音像表現については近いものを感じる。

国内ではPRIMEの陰に隠れながらも地味に人気のある機種で、中古価格は100万円クラスと大差ない。また、CPの音色を嫌う方の中には、PRIMEではなくこのORIGOを選択する方もいるなど、一様に劣化版PRIMEとは言えない存在。純銅ケーブルとしては間違いなく世界に冠たる存在の1つで、このJORMA ORIGOの知名度が本格的に高まれば、国産の50万円クラス以上は壊滅し、国内メーカーは20万円クラス以下への撤退を余儀なくされるであろう。

※100万円クラスとは、1m・XLR仕様の国内定価が100万円前後のケーブル群を指す造語。JORMA PRIME、STEALTH Indra、TRANSPARENT Reference XLなどをはじめ、蒼々たるケーブルがひしめき合う激戦区であるため、1つのジャンルとして区分している。尚、表にある基本性能総合からではなく、あくまでプライスを参考にした区分である点には注意が必要。

[価格]

国内参考価格:525,000円(税込)/1m

[Specification]

・JORMA ORIGO 共通事項

誘電体:無色高純度テフロン

導体材質:純度 99.999999%銅 (酸素及び他の不純物を除去)

導体構造:セラミックファイバーを芯にした多芯線構造

クリンピング・スリーブ材質:ポリオレフィン

シールド材質:錫メッキ銅

メッシュ材質:ポリエチレン(PET)

・ JORMA ORIGO XLR インターコネクトケーブル

コンダクター数:3 (+,-, GND) x 1pc. (1チャンネルにつき)

コンダクター断面積(Conductor 0.5mm2/pc) :3 (+,-, GND) x 0.5mm2 (1チャンネルにつき)

シールド断面積: 2 重x 4.2mm2 , RFIとEMI 除去率約99%

・バーンインタイム: 500時間(All JORMA ORIGO cables)

・ORIGOシリーズはPRIMEシリーズにアップグレードすることは出来ません。

[参考サイト]

http://www.cs-field.co.jp/brand/jorma/products/origo.html

[外見・取り回し]

線体にかけられた被覆が金色ではなく銀色である点、木箱がやや明るめのカラーである点、そして木箱上の金属プレートが片面にのみ貼られている点を除けば、外見・取り回し共にPRIMEとの差異は感じない。PRIMEのレビューでも書いたが、被覆のカラーリングは絶妙で、PRIMEの場合はCPの艶やかさ・きらめきが音に乗り、一般の純銅線より多少リッチな音色なのに対し、ORIGOの場合は飾り気のない弩ストレートな音色なのだが、この違いが金と銀のカラーリングに現れているようで面白い。

PRIME同様、十分な長ささえ確保できれば、接続には全くと言ってよいほど苦労しない。強いて言うならば、線体中央付近に位置するボックスが木製であり、傷や凹みなどを付けないよう気を遣う、といった程度なのではなかろうか。取り回しについては高評価。

 

 

★音質レビュー

 

[タイプ]

ニュートラル型・ニュートラル系のケーブル(つまり、音像・音場あるいは暖色・寒色の観点からみて中庸)。兄貴分のPRIMEと比べると、音場表現は近いものがあるが、音色については若干寒色寄り(どちらもニュートラルの範疇ではある)。これは、ORIGOにはクァンタムピューリファイアー(CP)が搭載されていない影響だと思われるが、PRIMEに比べると化粧気が無くダイレクトな音が出てくる印象。正直に言って、CPの影響による音色面の相違点とS/N感、そして情報コントロール力の差以外についてはPRIMEとほぼ同タイプなので、PRIMEのレビューも大いに参考にしていただきたい。

ESOTERICのMEXCELやAETのEVIDENCEにあるような、超高純度銅ケーブルのテイストが強く感じられるケーブルで、海外のケーブルにしては珍しく国産品に近い感想を抱く。しかし、ORIGOの場合、国内における1つのバロメーターである7Nを上回る8N銅を使用している上、激戦区であるEU域内においても生き残るだけのバランスの良さと音楽性も兼ね備えているため、例えば情報量・周波数レンジ感・音場展開のバランスだけ見ても、おおよそ国産品を寄せ付けない。価格的には上位であるESOTERICの旗艦でも歯が立たないと感じる。

なまじよく似たタイプのケーブルであるだけに、そのコストパフォーマンスの高さも含め、国内メーカーにとっては恐るべき脅威になりうる存在だろう。上でも述べたが、ORIGOの実力とコスパの良さが広く世に知れ渡れば、定価50万円/m前後の国産勢は壊滅状態に陥る可能性が高い。国内メーカーは、このORIGOに対抗しうる新製品を開発する必要に迫られていると言えよう。

 

[基本性能]

基本性能総合:ハイエンド上級

解像感:5

情報量:5

S/N感:3.5

情報コントロール力:3

周波数レンジ感:MAX

帯域バランス:MAX

汎用性:4.5

音の分離感:3.5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

部分的には、スーパーハイエンドのケーブルすら凌駕する性能を誇るが、得手・不得手が激しい。上のバロメーターだけで言えばスーパーハイエンドかも知れないが、ラインケーブルにとって最も重要な要素であるS/N感について劣る点と、ケーブルとしての完成度がPRIMEに大きく劣る点を考慮し、ハイエンド上級に分類した。より主観的な話をすれば、STEALTH Indra V.10と同格のケーブルではないかと考えている。

PRIMEの良さを引き継いでいるポイントについては、長所として現れることが多いように感じた。周波数レンジ感、帯域バランスはまさにそれで、PRIME同様に世界でもトップクラスの水準。JORMA DESIGNの8N銅において、この要素はかなり極まっている印象を受ける。ハイエンド以上の多くのケーブルが低音の厚みや重みに寄る中、鋭くスピーディに最低域までズドーンと落ちる低域は、非常にエキサイティング。いずれにせよ、PRIMEに非常に近い印象であるため、詳しくはそちらのレビューも参考にしてほしい。尚、解像感については、ポテンシャルは最高レベルであるためMAX評価したい気持ちは山々なのだが、S/N感の悪さからくるダイナミックレンジの狭まりが音のメリハリを悪化させていることから、PRIMEよりも1ランク下に位置づけた。情報量の不足とは別の観点からくる減点である。

このように、S/N感と(音の分離も含む)情報コントロール力については、かなり明確な弱点になっている。これは、開発時にベースとなったPRIMEのノイズ対策が露骨にクァンタムピューリファイアー(CP)に依存していた裏返しなのかもしれないが、そもそも、あまりS/Nを意識して設計しているという印象を受けない(このあたりは国産ケーブルの多くに似ている)。その影響は、音の分離感の悪化にも現れている。ORIGOの音というのは、良く言えば鮮度感と勢いがあり、悪く言えば壊れた蛇口のようで、つまり情報量(解像感・音の数)に対するコントロールが追いついていない高純度銅ケーブルの典型である。そこにS/N感が今一歩であることによる見通しの悪化が加わるため、音の分離については厳しい評価を下さざるを得ないだろう。尚、STELATH Indra V.10と比べると高評価である点は、音像の実体感がORIGOの方が強いため。

周波数レンジの広さと帯域バランスの良さ、そして余計な脚色を排した音色がゆえに汎用性は悪くはないが、上記のような弱点もあって、使いこなしはむしろPRIMEよりも難しい印象を受ける。なんだかんだ、S/N感と情報コントロール力については既に十二分に良いか、あるいは別の部分でカバーする必要が出てくるだろう。個人的には、TRANSPARENTのケーブル・機器類との併用を勧めたい。

[主な特徴]

1.卓越した周波数レンジ感と帯域バランス

この点については基本性能の項で既に述べたので省略するが、これらの点についてORIGOは世界でもトップクラス。

2.癖のなさ

予め申し上げるなら、我々はTRANSPARENTやJORMA DESIGNなどの最高クラスのコッパーについて、ニュートラルだという先入観を共有している。この点は、SILTECHやArgentoなどの最高クラスのシルバーを無個性として認識されている方とは、大きく認識が食い違う点であるため、予めご理解願いたい。

癖のなさとは、言い換えるなら個性の乏しさとしても説明できる点だと思っている。この項目にしても、主な特徴と銘打ちながら、実際の説明はほとんどが上で済んでしまい、ここで言うことがあまりないのは、ORIGOの癖のなさが故だと思っている。その意味では使いやすいケーブルで、こと音色についてはPRIME以上に癖が少ないだろう。当然、色付けや誤摩化しには向かない。S/N感の改善や情報コントロールなどといった課題も多いが、使いこなせたときの満足度の高さは相当なものがあり、むしろPRIMEより良質なケーブルとして位置づける方の気持ちは、よく分かる。上級者向けだがポテンシャルは極めて高い。

3.存在意義のよく分からない木箱

あまり説明することが無いため、半ばツッコミ的な内容かもしれないが、一応載せた。JORMA DESIGNの上位ラインは、線体に木箱が付いている。兄貴分であるPRIMEの場合、線体中央部の木箱にクァンタムピューリファイアー(CP)が納められているため、木箱は不可欠なものと言えよう。しかしながら、ORIGOと弟分のUNITYの場合、なぜあのような位置にあのような木箱が装着されているのか、解せない。何か特別な装置が入っているという話を聞いたことは無いし、あの箱がインシュレーターとしてさほど有用なものであるのかも、少々疑問ではある。また、インシュとしての効能を期待するならば、位置についてももう少し考慮する余地はあっただろうし、現時点ではPRIMEのイメージと高級感を付加したかったというのが我々の結論となっている。ただ、これは我々の知識が少ないせいであり、実は何か凄い物が入っていた、という可能性もあるとは思っているので、もし何か知っている方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ教えてやって下さい。

[ポジショニング]

かなり典型的な高性能・つまらないケーブルであるため、この無個性を利点とするか欠点とするかによって運用方法が変わってくる。基本性能を活かしたいのであれば、DAC・プリ間で問題ない。逆に、これは銀線に慣れ親しんだ方の目線だが、ORIGOの温度間と銅くささをシステムに反映したい場合は、プリ・パワー間が良いだろう(ただ、銀と銅をそのような形で併用される方はあまりいないとは思うが)。何にせよ、強烈な利点と欠点を兼ね備えたケーブルであるため、使いこなしには状況に応じた柔軟な対応が求められるだろう。

[主な比較対象]

JORMA DESIGN PRIME(兄貴分)

STEALTH Indra V.10(ライバル)

TRANSPARENT Reference XL(格上のライバル)

JORMA DESIGN UNITY(弟分)

ESOTERIC 7N-DA6300 MEXCEL