★概要
JORMA DESIGN ORIGOは、スウェーデンのJORMA DESIGNが製造・販売するインターコネクトケーブルである。NORDOST VALHALLAやArgento Audio FLOWなどと同様、50万円クラスの価格帯に属するケーブルであるが、その実力は同価格帯でも別格で、並の100万円クラス(※)は凌ぐ。 旗艦モデルのPRIMEをダウングレードしたモデルであり、クァンタムピューリファイアー(以下、CP)が除去されている他、被覆・木箱の素材が多少異なっているらしい。が、導体については同一のものを使用している他、被覆・木箱の形状なども非常に近いものがあると思われ、特に音場展開と音像表現については近いものを感じる。 国内ではPRIMEの陰に隠れながらも地味に人気のある機種で、中古価格は100万円クラスと大差ない。また、CPの音色を嫌う方の中には、PRIMEではなくこのORIGOを選択する方もいるなど、一様に劣化版PRIMEとは言えない存在。純銅ケーブルとしては間違いなく世界に冠たる存在の1つで、このJORMA ORIGOの知名度が本格的に高まれば、国産の50万円クラス以上は壊滅し、国内メーカーは20万円クラス以下への撤退を余儀なくされるであろう。 ※100万円クラスとは、1m・XLR仕様の国内定価が100万円前後のケーブル群を指す造語。JORMA PRIME、STEALTH Indra、TRANSPARENT Reference XLなどをはじめ、蒼々たるケーブルがひしめき合う激戦区であるため、1つのジャンルとして区分している。尚、表にある基本性能総合からではなく、あくまでプライスを参考にした区分である点には注意が必要。 [価格]
[Specification]
[参考サイト]
[外見・取り回し]
PRIME同様、十分な長ささえ確保できれば、接続には全くと言ってよいほど苦労しない。強いて言うならば、線体中央付近に位置するボックスが木製であり、傷や凹みなどを付けないよう気を遣う、といった程度なのではなかろうか。取り回しについては高評価。 |
★音質レビュー
[タイプ]
[基本性能]
部分的には、スーパーハイエンドのケーブルすら凌駕する性能を誇るが、得手・不得手が激しい。上のバロメーターだけで言えばスーパーハイエンドかも知れないが、ラインケーブルにとって最も重要な要素であるS/N感について劣る点と、ケーブルとしての完成度がPRIMEに大きく劣る点を考慮し、ハイエンド上級に分類した。より主観的な話をすれば、STEALTH Indra V.10と同格のケーブルではないかと考えている。 PRIMEの良さを引き継いでいるポイントについては、長所として現れることが多いように感じた。周波数レンジ感、帯域バランスはまさにそれで、PRIME同様に世界でもトップクラスの水準。JORMA DESIGNの8N銅において、この要素はかなり極まっている印象を受ける。ハイエンド以上の多くのケーブルが低音の厚みや重みに寄る中、鋭くスピーディに最低域までズドーンと落ちる低域は、非常にエキサイティング。いずれにせよ、PRIMEに非常に近い印象であるため、詳しくはそちらのレビューも参考にしてほしい。尚、解像感については、ポテンシャルは最高レベルであるためMAX評価したい気持ちは山々なのだが、S/N感の悪さからくるダイナミックレンジの狭まりが音のメリハリを悪化させていることから、PRIMEよりも1ランク下に位置づけた。情報量の不足とは別の観点からくる減点である。 このように、S/N感と(音の分離も含む)情報コントロール力については、かなり明確な弱点になっている。これは、開発時にベースとなったPRIMEのノイズ対策が露骨にクァンタムピューリファイアー(CP)に依存していた裏返しなのかもしれないが、そもそも、あまりS/Nを意識して設計しているという印象を受けない(このあたりは国産ケーブルの多くに似ている)。その影響は、音の分離感の悪化にも現れている。ORIGOの音というのは、良く言えば鮮度感と勢いがあり、悪く言えば壊れた蛇口のようで、つまり情報量(解像感・音の数)に対するコントロールが追いついていない高純度銅ケーブルの典型である。そこにS/N感が今一歩であることによる見通しの悪化が加わるため、音の分離については厳しい評価を下さざるを得ないだろう。尚、STELATH Indra V.10と比べると高評価である点は、音像の実体感がORIGOの方が強いため。 周波数レンジの広さと帯域バランスの良さ、そして余計な脚色を排した音色がゆえに汎用性は悪くはないが、上記のような弱点もあって、使いこなしはむしろPRIMEよりも難しい印象を受ける。なんだかんだ、S/N感と情報コントロール力については既に十二分に良いか、あるいは別の部分でカバーする必要が出てくるだろう。個人的には、TRANSPARENTのケーブル・機器類との併用を勧めたい。 [主な特徴]
[ポジショニング]
[主な比較対象]
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