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★概要

TRANSPARENT OPUSは、アメリカ合衆国のTransparent Audio社の製造・販売するインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップブランドである。初代にあたるOPUS MMが販売開始されたのは2000年前後であり、他のスーパーハイエンドケーブルと比べても長い歴史をもつケーブルなのだが、あまりに高価であるためか、特に国内では語られる機会が少なかった。しかし、このケーブルが他社、もっと言えばケーブル界そのものに与えた影響は計り知れず、ここ数年の各社旗艦モデルの高性能化・高汎用性化の潮流を見る限り、やっと各メーカーが設計思想・技術の両側面においてTRANSPARENTを追いうるところまできたのではないか、と感じられる

尚、現行ラインは2代目のOPUS MM2にあたり、これは初代OPUS MMを、MM2テクノロジーを用いて更に改良したもの。我々がレビューに際して用いたのは初代OPUS MMの方であり、実を言うとMM2の方はまだ誰も所有したことがないのだが、15年前に発売された初代のモデルをしてすら、我々の知り得る限りでは基本性能・汎用性の双方に関して、未だに世界最高の存在である(※)。これはすなわち、同ケーブルが約15年にもわたって世界の頂点に君臨しているということであり(マイナーチェンジ後のMM2は除くが)、オーディオ界でも類稀なる存在といえるだろう。

※ZenSatiのSeraphim、JORMAのPRIME、STEALTHのSakra、そしてSTAGE IIIのGRYPHONなど、名だたるケーブルとの比較を通じて出した結論になります。

[価格]

国内参考価格:2,480,000円(XLR・1m、税別。出典:Axiss)

[Specification]

スペック表なし。詳細は以下の参考サイトを参照

[参考サイト]

http://www.axiss.co.jp/whatsnew_transOPUS.html

[外見・取り回し]

TRANSPARENTのXLRケーブルは、上はOPUSから下はREFERENCEに至るまで、細身の線体にコックピット2発という基本構造で一貫しているが、このOPUSにあっては、第一にコックピット部がドライカーボン製である点、第二に線体はREFERENCE MM2と共に、REFERENCE XL以下のモデルよりも1回り太いものに設定されている点、そして第三にプラグ部が専用設計されている点(現行のREF. MM2およびREF. XL DIGITALにも搭載されている)について、主に下位ラインとは外見を異にしている。何だかんだ言っても、OPUSの最大の特徴はそのカーボンコクピットであろうし、OPUSの象徴と言えるだろう。

取り回しについては、導体そのものの太さはかなりのものであるため、曲げや捩りは楽ではないが、NBS BLACK LABELのような凶悪な取り回しの悪さは感じない。ただ、カーボンコックピット部は、その高級感もあいまって、傷を付けまいと気を遣う。まぁ、本来であればマイナス要素なのであろうが、一方では所有感の裏返しでもあるので、個人的にはあまり悪い気はしていない。この点は、偏見だと思っていただければ幸い。

★音質レビュー

[タイプ]

ニュートラル系・ニュートラル型のケーブル(つまり、音像・音場あるいは暖色・寒色の観点からみて中庸)。とはいっても、音場表現力・音像表現力のいずれについても、その道のエキスパート(例えば音場であればSTEALTH Sakra、音像であればSTAGE III GRYPHONなど)にも劣らないばかりか、はっきり言えば凌駕する実力すら誇るため、単に中庸というよりも、より高次元にハイバランスな存在として評すべきだと思われる。特に音場表現に関しては、広がりこそNo.1のZenSati Seraphimに劣るだろうが、ステージの透明感や音像配置の立体感については他の追随を許さず、音像表現の実力もあいまって音場の完成度については最高峰である。

強いて言うならば、音色は僅かに暖色。そして、明暗の次元でややダーク。銅導体を使用しているため銀ケーブルに比べると温度感は高いが、音像に艶や色気を持たせるとか、美音系の演出で音を明るくするとか、そういった飾り気は全くと言ってよいほど無い。何事にも揺るがない大河のような安定感が際立ち、軽やかさや幼さといった要素は認められない。そのため、若手の女性ヴォーカルなどを楽しく聴きたい場合には、ZenSati SeraphimやFono Acoustica Armonicoなどを併用することでカバーした方がよい。逆に大編成のクラシックやジャズにおいては、奏者が増えれば増えるほど力を発揮し、特にフルオーケストラやビッグバンドジャズの再生力は、統率力・生々しさ共に隔絶している。また、S/N感の良さはこれ以上にないレベルであり、古い音源であってもリアルに出してくる点は特筆に値する。

上でも述べたように、特定の帯域や情報量を誇張するようなタイプのケーブルではなく、圧倒的な高性能を背景にハイバランス・高忠実を地で行くタイプのケーブルと言えよう。同様の方向性はZenSatiやJORMA、STAGE IIIのフラッグシップ級でも確認できるが、TRANSPARENT OPUSの場合、追い込み方と完成度が桁違いである(後述)。主にクラシックやジャズにあるアコースティック楽器のリアリティは別格で、弦の張り・伸び・キレのバランス、ピアノのしなやかさと透明度、笛の生命感と空気感、ベースにおける重みと弾力の両立、あるいはシンバルの明瞭さや粒立ち、等々、他の追随を許さない(※1)。その純度たるや、ZenSati Seraphimですら音像のブレ・ぼやけを感じさせ、またJORMA PRIMEですら色付けを感じさせる。

1強いて言うならば、シンバルの明瞭さについてはSTAGE IIIのGRYPHONもOPUS並の表現力を誇ると思われる。

[基本性能]

基本性能総合:No.1

解像感:MAX

情報量:MAX

聴感S/N:No.1

情報コントロール力:No.1

周波数レンジ感:MAX

帯域バランス:MAX

汎用性:MAX

音の分離感:No.1

(評価:No.1>MAX>5>4.5>4>…>1)

我々のサイトでスーパーハイエンドとして紹介しているJORMAのPRIMEやSTAGE IIIのGRYPHON、あるいはZenSatiのSeraphimなどを相手に回しても、比較にならないほど高い基本性能を誇る。上で挙げた8要素のいずれについても、明確にOPUSを上回るケーブルを(本稿執筆時点で)筆者は存じない。したがって、全ての要素に関してNo.1と評したいところではあるのだが、ここではOPUSが他のいずれに対しても圧倒的な優位を示した要素に関してはNo.1、部分的とはいえ際どい比較を強いられたものについてはMAXとして評価している。以下では、これら個々の要素について述べてゆく。

まず、手短に説明できる3点である聴感S/N、情報コントロール力、そして音の分離感についてだが、これら3要素に関してOPUSは(我々の知る)全てのケーブルの追随を許さない。二番手として、S/N感についてはJORMA PRIMEを、情報コントロール力と音の分離感についてはGRYPHONを挙げたいが、残念ながらその何れも、OPUSと勝負になるレベルにはない。OPUSのステージにおいては、最高クラスの広がり、最高クラスの濃密さ、そして最高の見晴らし・透明感(Transparency)が実現されている。残念ながら、PRIMEやGRYPHONに、それだけのポテンシャルは無いであろう。

次に、情報量に関して。TRANSPARENTのケーブルに共通することだが、このOPUSにおいても情報量の誇示・顕示は控えめで、一聴しただけであればSTEATLH SakraやZenSati Seraphimの方が情報量は多めだと感じられた。しかし、少しじっくり聴き込めば、全帯域にわたる解像感のよさと必要な音を過不足なく拾い上げるきめの細かさを体感でき、その情報量はSakraやSeraphimに全く劣るものではないことが分かる。要は、異なるのは音の質感でSakraやSeraphimの方が粒子感のあるさらさらとした音を出す分、音で満ち満ちたように聴こえるのだろう。OPUSはあくまで、そのような美音系の演出は控えめに、1つ1つの音像をはっきりと、丁寧に描く。

周波数レンジの広がりは、2番手として位置づけているJORMA DESIGNのPRIME、ORIGOと互角か、最低域の情報量などについてはやや有利と感じられる。ただ、その差は僅少で、特にPRIMEとはほぼ同レベルと言って差し支えない。帯域バランスにしても、PRIMEの方が全体的に細身で硬い音ではあるものの、どちらも全体域にわたって音の厚みはほぼ均質、尚且つ最高域から最低域まで殆ど萎まない。このあたりは、超低域〜最低域がやや薄くなりがちなZenSati Seraphimや、高域・低域は強大な反面、中域の色気に乏しいSTAGE III GRYPHONなどと比較して、OPUSやPRIMEが優れている点であろう。補足だが、TRANSPARENTのハイエンドというと低音は分厚いが高音は弱いピラミッド型だという評判を聞くが、我々もREFERENCEやREFERENCE XLのクラスにおいては一理あると感じている。しかし、その評はOPUSにおいてはむしろ当てはまらず、鵜呑みにすれば、予想外の高〜中域の濃密さによって空間を支配されるリスクがある

最後に汎用性についてだが、これは現時点でも分かりかねているため、保留する。高性能・ハイバランスであり、通常の観点から考えれば文句を付け難い汎用性だが、他に類をみない格の高さが故であろうか、逆にSPやコンポに対して高圧的な面もあるため、もう少し見極める必要があると思っている(この点は、OPUS MM SPに於いて、より顕著である)

汎用性に関しては、NORDOST ODINやZenSati Seraphimとの比較を経て、一定の結論に達した。結論から言えば、使い勝手ではODINには劣るが、SeraphimやJorma Primeよりは優れると言えよう。特に、1本目を入れた場合の効能は絶大で、ケーブルに対する常識を覆されるとすら感じるが、複数セットを導入した場合、スピードに関してアンプ類にプラスαの駆動力を要求する場合がある。その点、ODINの「いかなるシステムでもそつなく性能・完成度を高める」能力は特筆すべきものがある。

総括すると、TRANSPARENT OPUSは間違いなくこの15年あまりにわたって世界の頂点に君臨し、またケーブル界を牽引するだけの性能とバランスの良さを兼ね備えた、まさに歴史的傑作であると確信している。

[主な特徴]

1.世界を牽引し続ける完成度

一言でOPUSを表現するとこうなる。あらゆる面で極めて優れる基本性能を誇り、加えて余計な脚色やバランスの悪化を極限まで抑えた音作りによって、性能のみならず音の完成度に関しても、世界で類をみない水準を維持している。

2.使用難度の高さ

[ポジショニング]

予め申し上げておくと、どのインコネをどこに入れるのがベストな選択肢であるかは、一般論以上に具体的なシステム構成からお考えになるべきで、こちらでの説明はあくまでついでのものであることをご理解願いたい。以下、本文。

筆者的には、ポジショニングよりも組み合わせるケーブルを選ぶのが難しいと思うので、(邪道だとは思うのだが)そちらを紹介しておきたい。

まず、これまでで最も相性が良いと感じたパートナーはZenSatiのSeraphimだ。S/N感と情報コントロール力を除けば、かなりの意味でOPUSに肉迫すると思われるこのケーブルは、コッパー導体にゴールドメッキという組み合わせのケーブルで、ゴールド特有の明るさ・甘みを若干音に乗せるものの、アコースティックの再現力は業界でも屈指の実力を誇る(JORMA PRIME以上という認識)。筆者は現在、SeraphimのSPとXLRを所有しているが、OPUSと相性がよいというよりも、OPUSのやりたいことを邪魔しないケーブルだと感じている。

次いで紹介したいのが、STAGE III CONCEPTSのA.S.P. REFERENCEシリーズ。驚愕の情報コントロール力と業界屈指の緻密さを誇る本シリーズは、音像表現と音場表現を極めて高次元に両立したケーブル群である。が、全てSTAGE IIIで固めると、少々音が冷徹になりすぎるところがあり、そんな時はプリ・パワー間あたりにOPUSを1セット入れてやると、随分と音がほぐれて聴きやすくなる。が、この運用方法ではOPUSは全体の辻褄合わせに回っており、若干勿体ない使い方と言える。ただ、この意味でOPUSに代わるケーブルは無いため、苦肉の策と言えるだろう(実は、友人がSTAGE IIIとNBS BLシリーズを組み合わせて音作りをしようとしているが、難航している)。

最後にポジションの話を少しするならば、筆者は基本的にSeraphim XLRをDAC・プリ間に、OPUSをプリ・パワー間に入れる。そうした方が、Seraphimのある種の色付けである甘さと暖かさを抑えられる。ただ、どうしても甘く軽やかな音調で楽しみたい曲を再生する際は、前後を入れ替えてプリから800DまでをSeraphimで統一する。

[主な比較対象]

ZenSati Seraphim

JORMA PRIME

STAGE III CONCEPTS A.S.P. REFERENCE GRYPHON

STEALTH SAKRA

STEALTH INDRA V.10

JORMA ORIGO