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★概要

 Nordost Odin Shupreme Reference Interconnect Cables(ノードスト・オーディン)は、アメリカ合衆国のNORDOSTが製造・販売しているインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。220万円/mという、名門NORDOSTのラインナップにあっても別格の高価格が設定されており、その希少性もあってか(特に日本では)伝説的な存在として語られる。世界的にも、数多のケーブルの最高峰が一角として非常に評価の高いケーブルであり2014年現在、TRANSPARENT OPUSに対抗可能なほぼ唯一のケーブルだと思われる。

[価格]

国内参考価格:2,200,000(1.0m、税別。出典:エレクトリ)

[Specification]

nsulation: High purity class 1.003 extruded Fluorinated Ethylene Propylene (FEP)
Construction: Precision Dual Micro Mono-Filament and TSC design
Conductors: 8 x 23 AWG extruded silver over 99.999999% OFC
Capacitance: 19.0pF/ft
Inductance: 0.7uH
Propagation Delay: 90% speed of light
Overall Shield Coverage: 100% Total Coverage

[参考サイト]

メーカー公式サイト

正規代理店・エレクトリのページ

[外見・取り回し]

ホワイトの被覆、ブラック塗装のプラグ、そして導体中央の木箱が印象的である。ARGENTO FMRSTEALTH SAKRA同様、被覆の白さからくる美しさは健在だが、同時にどこか無機的なストイックさも感じさせる。無駄のなさというのは、NORDOSTの一大コンセプトであるらしい。取り回しについてだが、全体的に細い分、曲げ・捻り共に容易であるNBSZenSatiにあるような太いケーブルと比べると、扱いやすい。ただ、FA ARMONICOJORMA PRIMEなど、扱いやすいハイエンドケーブルにも上には上があることは確かだ。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

 音場型・微寒色系のケーブル。この温度感は銀・銅を併用する多くのケーブルから感じるものだが、ODINはそのような銀・銅線の頂点に君臨する存在と評して差し支えない。

 音場展開に極めて長けたケーブルで、サウンドステージの広がりや音像の分離感・定位感など、優れたステージに求められる諸要素についてハイレベルにまとめてくれる。前後もさることながら、特に左右の広がりは素晴らしく、広大を極めると同時に嫌みがない。音の立ち上がり・立ち下がりが迅速かつ自然だからだろう。音像の身幅・密度も正確だ。音場展開を重視するケーブルには音像表現を疎かにするケーブルも多いが、ODINクラスともなればどの切り口からみても一流である。また、音像間の分離に極めて優れ、知る限り世界No.1。この点についてトラペOPUSを凌駕するケーブルが出現するとは、驚きだ。静粛性は、箱付きやSTAGE III GRYPHONには少しばかり劣るが、STEALTH SAKRAとほぼ同等の水準をキープしている。

 温度感はややクール。純銅線であるTRANSPARENT OPUS MMZenSati Angelと比べてもクールなテイストのケーブルで、その温度感はSTAGE III GRYPHONSTEALTH SAKRAに近いと感じる。特にGRYPHONとは、中音よりも高音がクール且つストイックである点が似通っている。また、明らかにクールなSTEALTH INDRA V.10SILTECH SNOW LAKEなどと比べると、全体的にウォームだとは感じる。

 ODINの音を聴いて「必要十分」というフレーズを思い浮かべるのは、筆者だけではないだろう。海外のハイエンドにありがちな飾り気や面白味は感じないが、かといって何の不満もない(強いていえば聴感S/N)。弟分のVALHALLA以上にストイックで無駄のないケーブルだが、同時にVALHALLAと比べてストイックさをひけらかさない。「必要な要素を満たし、不要な要素を排す」を地で行く「必要十分」へのこだわりは、TRANSPARENTOPUSからも感じたものだが、ODINの方が更に徹底している。ケーブルに華やかな演出を求める方にはお勧めできないが、そうでない全ての方には、一度お聴きになることを強くお勧めする

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:MAX

聴感S/N:5

情報コントロール力:MAX

周波数レンジ感:MAX

帯域バランス:No.1

汎用性:No.1

音の分離感:MAX

(評価:No.1>MAX>5>4.5>4>…>1)

 ネームヴァリューに対するオーナーの少なさから、伝説が伝説を呼んでいる感のあるODINだが、その実力は轟く雷名に相応しい。何よりもまず、メリットに対するデメリットの小ささが特筆すべきである。ケーブルを語るにあたって避けられない表現として「トレードオフ」「あちらを立てればこちらが立たず」といったものがある。たとえばNBS BLACK LABELであれば、その強烈な音像表現と引き換えにステージの広がりを犠牲にしていると言えるし、逆にSTEALTH DREAMであれば、満天の星空の如き広大なサウンドステージと引き換えに、個々の音像の実体感や温度感は犠牲にしている感がある。

 しかし、このような常識はNORDOST ODINには当てはまらない。少なくとも私はそう感じている。このODINとTRANSPARENTのOPUSだけは、全ケーブルの中においても犠牲にしているものの少なさが桁違いだ。「何も足さず、何も引かない」というピュアの観点から語るならば、ODINをケーブル界における1つの頂点とする見解は、あながち的外れとは言えないだろう。今回は、ケーブル界の双璧にしてODIN最大のライバルであるトラペOPUSとの比較をメインとしつつ、その性能を論じる。

 では、ODINの性能を各要素に分解しつつみてゆこう。まず、情報量全般だが、音の数と一音一音の精緻さの双方に関して、最高水準と言える。ODINの場合、聴感S/NではOPUSやGRYPHONに一歩及ばない。したがって、音像(明)とバックグラウンド(暗)のコントラストという 観点からすると、上の両者は優れるであろう。しかし、サウンドステージ(特に上下・左右)の広がりはGRYPHONを大きく凌ぎOPUSに匹敵する上、音像も締まりがよく十分にタイトであることから音像の定位・音の分離は十二分に明瞭(空間的な余裕がある)で、情報量を持て余している感じは全くしない(抜群のスピード感も、一因であろう)。

 これらを総合し、情報コントロール力という観点から考察すると、さすがに音像の定位感という点ではOPUSにこそ一歩及ばないが、スピード感では勝っており、まさに一長一短といったところである。スコアリングの上では、単体での効能の強さからOPUSに軍配を上げたが、複数使用時のバランスの良さについてはODINが勝るであろう。

 帯域バランスは、フラット中のフラット。もちろん、この評価は比較対象次第で変わるものだが(たとえばValhallaよりは低重心で、OPUSよりは高重心、等)、帯域を考える上でODINほど使い勝手のよいケーブルは知らない、というのが私の見解だ。少なくとも、フラットかつワイドレンジで有名なAVALON/SPECTRALシステムにおいて、ODINのハイバランスは特筆ものだ。以前のB&W 800D/PASS LABSのシステムにおいても、特に低域の量感・スピード感の両立は見事であったし、JBLやWILSONでも音楽が破綻をきたす頻度は極めて低い。帯域バランスについては「困ったらODINにしておけばよい」というような妙な信頼感があるのは事実だ。

 以上のように、複数の角度からメスを入れても、これといったボロを殆ど出さない優秀なケーブルであり、さらには音色的にも「必要十分」を地で行くケーブルといえる。使い勝手はトラペOPUSのさらに上を行っていると感じることから、今回はNo.1評価とした。但し、両者の役割は厳密には異なる。OPUSは、単体でも恐るべき凄みと支配力を発揮するケーブルで、1セットシステムに入れるだけでも聴感S/Nや音像定位といった観点からシステムを強烈に「補完」する。勿論これは素晴らしいことなのだが、全てをOPUSにすると「やり過ぎ」だと感じられてしまう(私の経験では、マルチにしない前提ならば1システム2セットが限界)。対して、ODINはシステムを「補完」するというよりも「開放」するといった傾向のケーブルである。ここでいう「開放」とはいわば「血管内の不純物が取り除かれ、血流が最高速度に達する」といったイメージのもので、システム内のODINが増えればその分だけシステムが開放される印象を受ける。参考までに言うと、私はXLR2セットとAC2セットをシステムに導入したが、入れれば入れるだけその効能は高まった。癖の強い海外のケーブルにありがちな「入れ過ぎによる副作用」は全く感じられなかった。そんなわけで、ひとたびODINと出会ったオーナーは、その後しばらくは強烈な物欲に駆られることになるだろう。システムには優しいが、懐には全く優しくないケーブルである。

[ポジショニング]

 基本的に、上から下までODINで固めることが理想と思われるケーブルなので「全てのポジションにODINを配置するのがベストである」との解をまずは示しておく。その上で、より懐に優しい次善策を論じたい。

 演出ではなく性能の高さで勝負するタイプのケーブルなので、DAC(CDP)・プリ間への接続が好ましい。たとえばZenSati Seraphimとのペアでセッティングした際は、DAC・プリ間にODIN、プリ・パワー間にSeraphimの方が良好な結果が得られた。また、Seraphimとは性格が全く異なるSTAGE III GRYPHONとのペアでも、結果は同様であった。その上で後段では個性を出すか、或いはもう1セットODINを導入するかは、システムに依るところであろう。

 

[主な比較対象]

NORDOST VALHALLA XLR(弟分)

TRANSPARENT, OPUS MM(ライバル)

ZenSati, Seraphim XLR(格下のライバル)

STAGE III CONCEPTS, A.S.P. GRYPHON(格下のライバル)

STEALTH, SAKRA(格下のライバル)

JORMA DESIGN, PRIME XLR(格下)