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★概要

NBS BLACK LABEL III A/C CABLE(ブラック・ラベル3)は、アメリカのNBS Audio Cables社が製造する電源ケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。また、NBSケーブルの最高級ブランドであるBLACK LABELシリーズの3代目にあたるケーブルであり、世界でもトップクラスのケーブルとして世界中にその名を轟かせる。

[価格]

本国MSRP:7,500USD

国内参考価格:900,000円

[Specification]

非公開

[参考サイト]

国内代理店Eagle Saverのページ

[外見・取り回し]

BLACK LABEL III(以下、BL III)の外見は、極めてユニークである。これまでも、煌びやかだったり(STEALTH DREAM)、棒だったり(Electra Glide FATMAN 2000 GOLD)、あるいはコブ付きだったり(JORMA PRIME POWER)というようなものはあったが、それにしたってBL IIIほどユニークではなかっただろう。まぁ、解説するのもなかなか骨が折れるので、そのユニークさは写真をご覧いただきたい(苦笑)

さて、取り回しに関してだが、BL IIIの取り回しは初代BLやBL IIと比べて容易である。我々の企画で運用しているのが2.7mの個体であるせいかもしれないが、中央部の置き場を確保し、あとは細い部分が他の機器やケーブルと接触しないよう注意すれば、問題なく使用できる(最悪、接触しても大事ではない)。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

BLACK LABEL IIのタイプについては、初代BLACK LABELと同傾向と記したが、このBL IIIについては、音像型・暖色系ではなく、総じてニュートラルに近いと感じる。IIに比べて音場表現力が大きく向上し、元より優れる音像表現力とのバランスを保つに至っている

音場はBL IIに比べて、前後・上下に広がり、音像とくに高音はさらにほぐれて伸びやかに感じられる。これは、BLACK LABELシリーズとしての個性が後退したことを意味する反面、汎用性が向上したということでもあろう。仮に初代BLからBL IIへの変化を正常進化とするならば、BL IIからBL IIIへの変化もまた、同様に正常進化だと言えよう。

また、温度感については、各音像がほぐれて高音も開放感を備えた結果、これまでのBLACK LABELシリーズにあったある種の閉塞感や暑苦しさから解放され、全体としてニュートラル系の演出に近づいたように感じた。しかし、これはあくまでBLACK LABEL IIベースのニュートラルであり、例えばJORMA PRIME POWERのような、寒色ベースの音に艶と色気をのせてニュートラルにしているケーブルとは、根本的にキャラクターが異なるため、注意が必要。

[基本性能]

基本性能総合: スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:5

聴感S/N:5

情報コントロール力:MAX

周波数レンジ感:MAX

帯域バランス:4

汎用性:5

音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

極めて高い基本性能を有するケーブルであり、いくつもの要素について世界最高水準を維持している。その実力は、一聴してNBS BLACK LABEL IIよりも高く、スーパーハイエンドの筆頭として評するに恥じないものである。

中でも秀逸なのは、音像の解像感と周波数レンジの広がり感、そして情報コントロール力で、STAGE III KRAKENやPRIME POWERなどと並ぶ世界最高峰の一角と言えよう。特に、超低音のコントロール力は恐ろしい。どうすれば、超低域に対しこれほどまでの明瞭さとグリップ力を獲得できるのか、是非ともエンジニアに尋ねてみたいものだ。

逆に、情報量については聴かせ方の次元からしてZenSati CherubSTEALTH DREAM V.10のような洪水型は敵わないため、それらよりは低評価。

次に帯域バランス。BL IIIにおいて特に強大な帯域は超低域の下半分で、これは低音マニアにとっては垂涎とすら言えるのだが、如何せんあまりに強大過ぎて、帯域バランスを崩している。問題はやはり、中音のクオリティが超低音のそれに追いついていない点であろう(ちなみに高音は存在感・クオリティ共に、ほぼ文句なし)。解像感はほとんど文句なしだが、あの悪魔的な超低音とバランスを取るためには、ヴォーカル他の実体感と音線の明瞭さがもう一歩欲しい。そのためには、中〜高域について現在の解像感・ヌケの良さを保ちつつ、同時に今以上の密度感と陰影感を付加する必要がある。

尚、汎用性についてBL IIよりも高評価なのは、基本性能が高い点と、高音がほぐれてヌケが良く、使い道も多い点を考慮したため。また、聴感S/Nについてはモデルチェンジを経る毎に改善されている印象。ケーブルの太さを比較してみると、両端部の被覆は薄くなっているものの、中央部についてはヴォリュームが増してきていることが分かるため、そのあたりで辻褄が合わされているらしい。

[主な特徴]

1.極めて強大な超低音

この点については既に上で説明済みであるため、割愛する。

2.音場表現の充実

ガチガチの音像型である初代BLやBL IIをルーツとするケーブルでありながら、BL IIIは音場表現力も優れたケーブルだと感じる。例えば、暖色系にはShunyata King Cobra CXBMI Hammerhead Gold Mk.5(以下、HG5)など、音像表現・音場表現共に優れた能力を発揮するケーブルがあるが、このBL IIIのステージ展開力はKing Cobra CXのそれを凌駕し、HG5と肩を並べる。BL IIからの遺伝的要素としてやはり左右は広く、これにBL III独自の上下・前後が加わり、トータルとしての広がりはHG5に引けをとらない(前後をより得意とするHG5、左右をより得意とするBL IIIという違いはあろうが)。逆に、音像の張り出しそのものは先代のBL IIと比べて後退するが、その点はBL IIと使い分ければ問題は無いだろう。

3.中~高域の汎用性の高さ

BL IIIの中~高域は、初代BLやBL IIのそれと比べて実体感が後退しており、ポジティブに言うならほぐれている。この点は特に、初代BLと聴き比べると顕著である。この中~高域については、賛否両論があるだろう初代BL以来の、張りがあって実体感溢れる高域を好まれていた方には、BL IIIのほぐれて伸びのある高域は、いかにも面白くないに違いない。逆に、BLACK LABELシリーズの低域は好みだが、中から特に高域が硬すぎて使いづらいとお考えの方にとっては、BL IIIの登場はまさに僥倖と言えるだろう。

が、いかに賛否両論あるとはいえ、BL IIIの中~高域が初代BLやBL IIのそれと比べて、汎用性と基本性能に優れたものであることを否定するのは難しい。特に高域は、初代BLのそれが明らかに個性的であったのに対し、BL IIIのそれは性能重視で無個性に近い。もっとも、無個性であるがゆえに影が薄く、強大な超低域ばかりが目立ってしまっているとの指摘もあるだろうが、これについては例えばCherubのような中~高域がむしろ張り出すようなケーブルと組み合わせることで解消できる問題であるため、そこまで悲観すべき要素だとは思わない。むしろより貴重なのは、中~高域の質を大きく落とす/変えることなく低域を強化できる、BL IIIの特性ではなかろうか。

[ポジショニング]

基本性能に関する各項目についてはぬかりが無い他、中域以上の帯域については汎用性も十分に高いため、基本的に苦手とするポジションは特に無いだろう。アンプへの使用においては、BLACK LABELシリーズのフラッグシップに恥じぬ高性能と安定感を発揮し、トラポやプレイヤーに使用すれば、解像感とレンジ感の良さからくまなく情報を拾い集める。また、DACやプリに入れても、その質感を活かすことは可能だ。とまぁマルチであるが、強いて言うならばパワーアンプへの接続を勧める。上流であれば他の選択肢もあるだろうが、パワーアンプ用でこのBL IIIを超えるケーブルを見つけるのは至難の業だと思っている。

とまぁ、基本的には何でもできるケーブルなのだが、やはり超低域は業界でも一・二を争うレベルの強大さを誇り、尚且つ支配力はBLACK LABELの3代目に相応しい強さなので、超低域が強くなりすぎると困る、という方は他の選択肢を探すべきかもしれない。特に、パワフルなアンプを使って38cmをドコドコ鳴らしているようなシステムに投入すると、予想以上に超低域が際立って煩い可能性もある。高品位のシステムであればあるほど超低域は強く克明になるだろうから、導入時はきちんと見極めることをお勧めしたい。