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※写真は便宜上、最も新しいバージョンのものを掲載しています。

★概要

NBS BLACK LABEL II A/C CABLE(ブラック・ラベル2)は、アメリカのNBS Audio Cables社が製造する電源ケーブルである。NBSケーブルの中でも最高級ブランドであるBLACK LABELシリーズの2代目にあたるケーブルであり、初代BLACK LABELに負けず劣らずのゴツい外見と、その性能・音楽性に対する極めて高い評価が相まって、初代BLACK LABEL同様の超有名ケーブルとなっている。

初代BLACK LABEL同様、非常にエージングに時間がかかるケーブルであり、(本当かは微妙なところだが)数ヶ月~半年ほどかかるという噂もあるほどである。ちなみに、我々も新品からエージングを行った試しはあるが、機器やケーブルの入れ替えが少なくなかったのと、耳の方が馴染んでいってしまったこともあり、数ヶ月越しの変化は実感できなかった。

また、これはNBSケーブル全般に言えることだが、個体差がある。そもそも前期(フラッグシップ時代)と後期の個体では、つくりや音がだいぶ異なっている。また、個体によって低域のレンジが狭かったり、解像感がイマイチであったりする。このあたりは、ハンドメイドの宿命であろうか。

[価格]

MSRP:6,000USD(6ft)だが、値下げ幅が大

[Specification]

非公開

[参考サイト]

現行モデルでないため、ページ無し。

[外見・取り回し]

基本的には初代BLACK LABEL(以下、初代BL)と似たような外見をしているが、両端部が多少細くなっている点はBLACK LABEL II(以下、BL II)の特徴である。

また、この両端部の細さがゆえに、取り回しの悪さは初代BLと比べると劇的に改善されている。が、依然として重くて曲げにくいことには変わりがないため、一般的な水準から考えれば取り回しはかなり悪いといえよう。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

 基本的には、初代BLACK LABELと同傾向の音像型・暖色系のケーブルであるが、初代ほど極端に音像表現に特化しているわけではない。とりあえず、音像の実体感・硬度についてはだいぶ後退しており、ギリギリ常識的と言える範囲内ではないかと思う(相変わらず、高域はかなりキツいものがあるが)。また、音場も初代に比べて主に左右両側面に対し広がっており、像の厚みが増しているにも関わらず、音の分離も初代より良くなっているようだ。しかし、左右以外の方向は相変わらず狭めであり、依然として高域の硬さとダークな音色には、強烈な個性が見いだせる。また、汎用性は後続のBLACK LABEL IIIと比べるとだいぶ劣るように感じられる。その意味では、初代とIIIの中間的存在で、ある意味中途半端な存在なのだが、後述する中域表現の巧さがゆえ、居場所はあるだろう。

 

[基本性能]

基本性能総合: ハイエンド上級

解像感:5

情報量:4.5

S/N感:4.5

情報コントロール力:5

周波数レンジ感:5

帯域バランス:4.5

汎用性:4

音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

初代BLACK LABELと比べても更に一回り高い基本性能を誇っており、ハイエンド上級をリードする存在として位置づけている。

各要素について見てゆくと、周波数レンジ感と解像感については初代BLを上回り、汎用性も初代BLと比べて劇的に改善されている。また、ステージの広がり、特に左右の展開が広く立体的なものになっている点にも着目すべきだろう(あくまで、初代BLと比べて)。

BLACK LABELシリーズ特有の高域表現と帯域バランスがゆえ、上で評価した汎用性にしてもケーブル界全体の中では、(巷で言われているほどは)高くないと思われる。特に、ライバルと目されるアレグロACとの最大の差は汎用性であると言えよう。

尚、初代BLに引き続き、情報コントロール力は非常に強い。そもそもの音作りからして初代BLほど個性的なケーブルではないため、それに比べると音そのものは控えめに感じるのだが、その支配力(特に超低域のグリップ力)はJORMA PRIMEやアレグロに代表されるようなスーパーハイエンドケーブルに匹敵する。コントロールそれ自体の精度が云々というよりも、システム内における自己顕示欲と排他性が際立っている([ポジショニング]の項目も参照)。

 

[主な特徴]

言い方は悪いが実体感一辺倒の初代BLと異なり、各帯域(具体的には高・中・低)がそれぞれの個性と完成度をもって描き分けられているという印象が強かった(帯域バランスの高評価に繋がる要素)。特に、中~高域と低域の描き分けは、脱帽。

1.完成度が高く、奥深い中域表現

BL IIは中域、特にヴォーカルの表現に長けている。上でアレグロとライバル関係にあると説明したが、この点はまさにそうである。歌い手の生命感の再現力、実体感(像の硬軟と音線のクリアネス)の強さ、等々、ヴォーカル表現に必要な要素が詰め込まれており、ジャンルによっては最適な選択肢の1つとなりうるであろう。アレグロの場合、表裏が少なく、元気がよくて明るい音色が魅力的だと感じたが、このBL IIの場合、アレグロと比べて陰陽コントラストが豊かであり、特に壮年歌手のヴォーカルの再現力に長ける。私のような未熟者がこんなことを言うのも我ながら失笑だが、長きに渡って苦労を積み重ね、そして確固たるものを築き上げた者が放つ完成度の高さと一筋縄ではいかない強かさがうまく再現されているように感じる。なんというか、JORMA PRIMEのような若々しさと勢いが魅力的なケーブルには見られないような奥深さである。

2.部屋ごと揺さぶるような低域

BL IIの低域は空間的な印象が強い。といっても意味が分からないだろうからもう少し言葉を付け足すと、音の塊をぶつけようとするタイプではなく部屋ごと揺さぶってしまおうとするケーブルであるように感じる。これは主に、初代BLやアレグロとの比較から述べている感想で、特に38cmを駆動した場合に顕著だと感じる。

低域にもいろいろあると思う。例えば、同じNBSのSTATEMENT EXTREME IVの鞭打つような低域、BMI OCEANIC STATEMENTのような躍動する低域、あるいはアレグロの滑らかに加速するような低域、そして初代BLの大質量の塊をぶつけるような低域、等々。で、BL IIの低域はというと、これは地の底からステージごと揺さぶられる、地震のような低域だ。我々は既にBLACK LABEL IIIを手にしているため、BL IIの低域をもって「最低域まで十二分に鳴らす」とは評せないと考えているが、それでも超低域のかなりの部分まで量感・解像感共に高いレベルで鳴らす。そして、驚くべきはこの空間レベルで深く分厚い低域が、平均値を上回るレベルのスピード感とレスポンスの良さを兼ね備えている点である。これによりBL IIは、重低域・迫力重視の曲・演奏をもたつかず再生することを可能としている。初代BLのページでも述べたが、BLACK LABELシリーズの低域がホンモノである証拠だろう。

余談だが、中低域の存在感は薄い。なんというか、凝縮された中域と拡散された超低~低域に挟まれ、逆にノーマルで無個性なものになってしまっている感が強い。

3.実体感の強い高域

これについては、初代BLACK LABELが同傾向且つより極端なモデルなので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。このBL IIも、初代BLほどではないが高域の実体感が強いモデルであり、この点はきちんと見極めた上で導入しなければ、場合によっては後悔するだろう。聴いた限り、BLACK LABELシリーズの高域が常識的と言いうる範囲内に収まるには、BLACK LABEL IIIの登場を待たなければならなかったのではなかろうか。

ちなみに、初代BLとBL IIの異なる点は、この過剰な実体感が中域にまで及んでいるか否かではないかと思う。初代BLは、中域についても実体感が強い。

[ポジショニング]

基本的には初代BLと近いタイプのケーブルであるため、初代と同様にパワーアンプへの使用は理想的だと感じる。相手が純A級アンプであれ何であれ、問題なく十分な電力を供給し、駆動をサポートする。一筋縄ではいかないような曲者アンプの場合、むしろ他のケーブルとの差を際立たせるなど、その安定感は特筆すべきものがある。

また、初代BLとは異なり、プリアンプやデジタル機器での使用も推奨できる。音の汎用性・取り回し共に初代よりも確実に上であり、上流に使うにしても苦労が小さい。また、情報量・レンジ感共に初代BLより優れる点も、それを後押ししている。

余談だが、このBL IIに関して「大人しく、扱いやすい」という評価を耳にすることがあるが、本企画的にはちょっと危険な感想ではないかと思う。上で壮年歌手の例を挙げたが、確かにこのBL IIは一聴してはっちゃけてはいないし、大人しい(というよりも礼儀正しげだと思う)。しかし、その奥深さと支配力は(確実に)一聴して感じる以上のものであり、使いやすいからといってシステムに入れ過ぎると、いつの間にかシステムがBL IIの個性に支配されている、などといったことになりかねない。したがって、導入の際にはきちんと熟考し、システムが崩れない程度の使用に抑える努力が必要だと思われる。