IMG_0426 IMG_0427

★概要

Kimber Kable PK-10 Palladianは、アメリカ合衆国のKimber Kableが製造する電源ケーブルであり、PK-14 Palladianと並んで電源ケーブル部門のフラッグシップモデルでもある。日本国内でもユーザーの多いPK-10 Goldの中央部にフィルタを装着したもので、1本のケーブルにとしては異例のずっしり感が特徴である。この箱のおかげで下位のPK-10 Goldと比べて取り回しに劣るが、箱付き特有のノイズ対策の充実も実感できる(店頭試聴時に確認)。

尚、我々が運用・評価したモデルは初代Palladian(with Wattgate 330i/350i)であり、現行の二代目(国内ではPALPLUSと呼ばれる)はフィルタの形状が変更されている。

国内参考価格は250,000円前後に設定されており、これはESOTERICの現行フラッグシップである7N-PC7500などとほぼ同格の設定である。

尚、プラグについてはWattgate社の330i/350iシリーズの中から自由に選択できるオプションがあり、システムに適したマイナーチェンジが可能である。

[価格]

国内参考価格:250,000円前後

[Specification]

•Specially optimized copper

•Chroma free conductor dielectric

•Wattgate Audio Grade Connectors

•Finest power cable available

[参考サイト]

http://www.kimber.com/products/powerkords/pk10palladian/

[外見・取り回し]

上でも述べたように、ケーブル中央部に装着された大きくて重いフィルタが特徴的。このバカでかい筒の内部にノイズ対策装置が設置され、S/N感を大きく向上させているものと思われる。我々が使用した初代のモデルは、この筒がえらく不細工なものであったが、モデルチェンジ後はよりスマートな形状になっているようだ。

取り回しは、この装置の存在がゆえに一般的な箱無しケーブルと比べると大変で、特にラック上段に配置された機器などに接続する際は、ケーブル長によっては機器のインレットへの負荷が心配になる。しかし、ラインそれ自体は取り回しやすく、曲げ・捻りは比較的容易である。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

Cardas Clear BeyondやWire World Gold Electra 5^2などと並び、ミドルエンド・暖色系の典型と言える存在。国産のミドルエンドに見られがちな高域のエッジや中~高域の鮮烈さとは、良くも悪くも無縁な音作りをする機種だと感じている。ややまったりとして緩やかな速度感が印象的で、細部描写のキレ味や鮮度の高さで勝負するタイプではなく、むしろ全体としての懐の深さや完成度の高さで勝負するケーブルだと感じる。

音場は、広さや形については(良くも悪くも)あまり個性的ではないが、S/N感が非常に良く、無難にまとまっていると言えよう。

[基本性能]

基本性能総合: ミドルエンド

解像感:2.5

情報量:2.5

S/N感:4

情報コントロール力:3

周波数レンジ感:2.5

帯域バランス:3

汎用性:3

音の分離感:3

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

ミドルエンドとして至って平均的な基本性能を有する機種だと感じるが、如何せん国内定価が非常に高い額(TRANSPARENT PLMM2Xとほぼ同額)に設定されており、コストパフォーマンスの悪さが際立ってしまっている感は否めない。

さて、詳しくは後述するが、このケーブルの最大の特徴はS/N感の良さである。その他の性能は、はっきり言ってPK-10 Goldと大差ないと感じられたが、S/N感に関しては下手なハイエンドケーブルを凌ぐ水準にあり、その恩恵なのか音の分離も悪くない。

情報コントロール力は、案外悪くない。レスポンスの速度感と低域の締まり具合については今一歩だと感じるが、全体のバランスはとれているため、ボロが出にくいのだろう。

その他の項目については、バランスよくミドルエンド相応といったところではないかと思う。

[主な特徴]

1.ノイズ対策の充実

下位のPK-10 GOLDとの主な違いは、ケーブル中央部に位置するボックスの有無である。このボックスの有無によって国内定価が3倍も違うのだが、確かにボックス付きのPalladianとボックス無しのGOLDとのノイズ対策力の差は、店頭試聴であっても一聴して認識できるレベルにある。コスパの問題はさておき、PK-10 Palのノイズ対策力は確かなようだ。

2.バランスの良い音作り

 これは金メッキプラグ装着モデルに対する感想であるが、PK-10 Palの音作りはまとまりの良いものだと感じる。特定の音が突出することは稀で、破綻は皆無である。必要以上のこだわりや凝ったところが少ないと言ってもよい。若干暖色寄りの音色だが、Purist Audio Designのケーブルなどに見られる色気の演出や、NBSケーブルなどに見られる体育会系の熱気は感じない。この脚色の無さ(言い換えるなら野心の小ささ)が、PK-10 Palの完成度の高さと無理のなさの所以であり、飽きがきにくく安らげる音楽鑑賞を可能としているように感じる。また、広範なジャンルに対応できる懐の深さも感じさせる。ただし、キレやスピード感、派手な演出といった要素については守備範囲内ではないだろうから、これらの要素は他のケーブルに期待すべきだろう。

[ポジショニング]

S/N感が優れることから、その特性を活かせるポジションに使用すべきだろう。ネックになるのがレンジの狭さと解像感の悪さなので、特別な理由がなければデジタル系やプリには使用しない方がよいと思われる。総じて、壁やアンプに使ったほうがまだ無難である。反対に、ノイズ対策装置として壁と電コン・タップの間に使用するというのはそれなりに上策だと感じる。

いずれにせよ、このサイトでいうハイエンド入門クラスのケーブルでシステムを固められている方にとっては、わざわざ新たに導入すべきケーブルだとは思わない。逆に、国内定価でも数万円程度の入門クラスのケーブルを使用されている方にとっては、壁に使うことで性能・静寂性をバランスよく高めてくれる頼りがいのある存在になりうるだろう。