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★概要

JORMA DESIGN PRIME POWERケーブル(ヨルマデザイン・プライム・パワー。以下、PRIME POWER)は、スウェーデンのJORMA DESIGN社が製造している電源ケーブルであり、2013年現在の同社のフラッグシップモデルである。

基本性能・音楽性共に極めて優れたケーブルで、このPRIME POWERを世界最高の電源ケーブルとして考えるオーディオファイルも少なくない。また、音色的な偏りの少なさにも定評があり、多くの愛好家がリファレンスとして使用しているモデルでもある。

[価格]

MSRP:4,900USD(1.5m)

[Specification]

非公開

[参考サイト]

JORMA DESIGN社・公式HP

[外見・取り回し]

煌びやかな被覆、紡錘型の木箱、そして日本のオヤイデ社製のプラグが特徴的なヨルマデザインのケーブル。外見だけでも、なかなか美しいケーブルだと感心する。

取り回しはお世辞にも良いとは言えない。見た目はそこまで太くなく、重量的にもそこまでではないのだが、いかんせん捻りにくい。また、曲げも良いとはいえないところがあり、特に短めの個体を使用する際は苦労することが多いかもしれない。そのあたりは、どちらかといえば国産ケーブルの多くに近い。

★音質レビュー

[タイプ]

ニュートラル型・ニュートラル系の範疇に含まれるケーブル。強いて言うならば僅かに暖色寄りかつ音像表現をより得意とするケーブルである。音場に関しては、抜群の聴感S/N(※)を背景に、広がりよりも音像定位の良さを追求したタイプだと感じる。銅線でありながら一音一音がビシッ、バシッっとブレなく決まる点が魅力的で、情報量に対するコントロール力の高さは、巷で“*N純度銅”などと謳っているケーブルとは一線を画す。その聴感S/Nの優位がゆえに、大して広くない音場に驚くべき量の情報が、氾濫することなく収まっている(もっとも、このあたりの感じ方は人それぞれであろうが)。加えて、Electra Glide EPIPHANYNBS BLACK LABELのような音像一辺倒のケーブルではなく、音場表現も(タイプは異なるが)アレグロと並ぶレベルの巧さがある。音場は上下・左右よりも奥行きを大切にするタイプだと思われ(BMI OCEANIC STATEMENTを小スケールにしたような)、前後の広がりと音像定位の正確さはアレグロやNBS BLACK LABEL IIを凌ぐだろう。

※PRIMEに搭載されたクァンタムピューリファイアー(CP)が効いている模様。

音色は、ニュートラルに分類したい。同系統のESOTERICの7N-PC9500 MEXCELよりも暖色的であることから、厳密にはニュートラル〜微暖色のどこかと言って差し支えないだろう。(ORIGOなどを聴いて感じるに)JORMAの8N銅導体そのものの音色はややクール(微寒色)だと思うが、PRIMEの場合、CPの個性である艶っぽさが温度感を高めている。

[基本性能]

基本性能総合: スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:MAX

聴感S/N:MAX

情報コントロール力:5

周波数レンジ感:MAX

帯域バランス:MAX

汎用性:5

音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

スーパーハイエンドの筆頭と評すべき基本性能を誇り、解像感、聴感S/N、周波数レンジ感、帯域バランス、そして情報コントロール力の5点に関しては最高レベル。逆に、情報コントロール力については、確かに聴感S/Nは素晴らしいが、元となった導体が洪水のように情報量をもたらすため音の分離感に多少の難があり、結果としてSTAGE III KRAKENNBS BLACK LABEL IIIほど卓越したコントロール力は発揮しない。加えて、S/N対策を担うクァンタムピューリファイアーの副作用である独特な艶感は、どうしてもアコースティックの再現時にネックとなっており、汎用性はアレグロやTRANSPARENT POWERLINK MM2Xに劣る模様。つくづく、膨大な情報量をコントロールすることの難しさを感じさせるケーブルである。

[主な特徴]

1.桁違いの聴感S/N

PRIME POWERについて言及する上でまず挙げたいのが、その聴感S/Nである。本企画では、これまで様々な電源ケーブルを運用してきたが、PRIME POWERはその中で最も聴感S/Nに優れたケーブルの1つだと考えている。上で、PRIME POWERの音場はその情報量に対してさほど広いものではないと述べたが、そんな中で音の分離感を悪くない水準に保ち、情報をコントロールしているのは、この聴感S/Nの良さだろう。仮にPRIME POWERのS/Nが並のケーブル程度だったとするならば、そのステージはノイズフロアの高さによって破綻していたことだろう。加えて、PRIME POWERの紡ぎ出す音像の陰影感の豊かさも、この聴感S/Nの良さを抜きにしては考えられまい。

2.帯域バランスの良さ

PRIME POWERは全ケーブル中、最も秀逸な帯域バランスを感じさせるケーブルの1つである。まずPRIME POWERは、低域方面の周波数レンジの広がりについてはSTAGE III KRAKEN、K. Racing DEVICE 0、あるいはBLACK LABEL IIIなどと並び、世界最高水準だと思われるわけだが、PRIME POWERの優れた点は、低域のポテンシャルに圧倒されることなくその厚み・もたつきを抑え、結果として世界最高クラスの帯域バランスを実現している点であろう。全てのケーブルメーカーは広大な周波数レンジと安定した帯域バランスの実現を目指すが、このレベルで実現できているメーカーは極めて少ない。特定の帯域がしゃしゃり出ることがないため非常に使いやすく、帯域バランスはPRIME POWERの汎用性を語る上で不可欠な要素と言えるだろう。

3.キレと艶を両立した中~高音

前述した通り、PRIME POWERの導体は高純度銅である。ESOTERICのMEXCELなど所有されている方はご存知だろうが、高品位の銅導体が描き出す中~高音には鮮度とキレがある。何だかんだで、PRIME POWERの音のベースとなっているのは、この鮮烈なコッパーサウンドだと言える。が、ここにPRIME POWERに独自な要素として、CP由来の艶やかさが加わる。この艶は、鮮烈さ一辺倒とも言えるコッパーサウンドに、ある種の落ち着きとリッチな響きを与えている。重要な点は、この艶を自然な範囲内での優れた脚色と捉えるか、それとも不自然・人工的な音の歪みと捉えるか否かが、PRIMEへの評価を二分している点である(POWERに限らず)。前の方はPRIMEを、後の方はORIGOを選択されるのが一昔前の潮流であったが、2013年現在であれば、解決策としてZenSati Seraphimも有力な選択肢となり得るであろう。

[ポジショニング]

基本性能は文句なしに高く、バランスも非常に良い機種であるため、基本的にはどのような使い方をしてもバチが当たらない数少ないケーブルの1つだと思われる。が、向き不向きが皆無だとは思わない。

実際、システムに(艶感以外の)色付けを行いたい場合、このPRIME POWERを上回る選択肢は少なくない(BLACK LABELシリーズ、STEALTH DREAM、他)。そういった意味では、性能面の優位をより生かしやすい壁やトランスポートなどに使用した方が、システム全体の向上には望ましい。

逆に、アンプなどにピラミッド型のケーブルをお使いの方で、低域を引き締め、密度感を付加したいという方や、まったりしたケーブルをお使いの方で、システムに鮮度感やキレ、あるいは艶感を付加したいという方には、このPRIME POWERはお勧めできる。

[主な比較対象]

STAGE III CONCEPTS, A.S.P. REFERENCE KRAKEN(格上のライバル)

BMI, OCEANIC STATEMENT(ライバル)

TRANSPARENT, POWERLINK MM2X(ライバル)

NBS, BLACK LABEL III(ライバル)

ESOTERIC, 7N-PC9500(格下のライバル)

ZenSati, Cherub