IMG_3780

 

★概要

Fono Acustica Armonico XLRは、スペインのFono Acusticaが製造・販売するインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。Fono Acusticaの代理店はまだ国内に存在しないが、欧州などでは既に高い人気を誇っているようで、ArgentoやZenSatiなどと並ぶ新進気鋭のメーカーと言えよう。Armonico XLRに限って言えば、素材の構成や価格設定(100万円クラスに分類可、※)から、STEALTH Indra V.10などとライバル関係にあると言える。

※100万円クラスとは、1m・XLR仕様の国内定価が100万円前後のケーブル群を指す造語。JORMA PRIMESTEALTH IndraTRANSPARENT REFERENCE XLなどをはじめ、蒼々たるケーブルがひしめき合う激戦区であるため、1つのジャンルとして区分している。尚、表にある基本性能総合からではなく、あくまでプライスを参考にした区分である点には注意が必要。

[価格]

PRICE: 8,840EUR(1.5m, XLR) ±1,650EUR(±0.5m)

[Specification]

詳細は、こちらを参照

[参考サイト]

http://www.fono-acustica.com/products.html

[外見・取り回し]

ケーブル中央部の木箱が特徴的なケーブル。TRANSPARENTやMITにはじまり、いまや箱付きはケーブル界でも一大ジャンルとなっているが、その中にあっても更にユニークなデザインの箱だと言える。この箱の中に何かが入っているという話は聞かないし、インシュレーター以上の効能があるのかは現時点では不明だが、スペイン人の感性というか遊び心のようなものを感じさせるのは確か。日本のメーカーにも見習ってもらいたいポイントだ。

導体がソリッド・コアということで、相応の硬さと取り回しの悪さを覚悟していたが、予想外に軽く、取り回しも容易なケーブルであった。箱も含めて軽いため、NORDOST VALHALLA並の扱いやすさである。プラグがOyaide製であり、堅牢であるのも安心できる点。総じて、使い勝手は非常に良い。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

音像型・ニュートラル系のケーブルで、その音を一言で表せば「実体感の強い美音」。微寒色系に分類できないこともなさそうだが、STEALTH Indra V.10よりも暖色寄りであることと、明暗の次元ではかなりの明であることから、全体としてはニュートラルに分類した。

シルバーやゴールドを多用したケーブルとしては珍しいほど音像志向が強いケーブル。高音域は比較的さらりとしてスピード感もあるが、下にゆくに従って重さと厚みが増してくる。金も銀も、低音の実体感を強化する特性はさほどでもないと思われるため、この音はソリッド・コア導体の特性によるものだと思われる。ステージを広げる性格のケーブルではない。奥行きなどはむしろ狭めることでガツンとした音像のインパクトを追求しており、この点はNBS BLACK LABEL IIばり。誤解を覚悟で言えば、Acoustic Reviveのケーブルが思い切り高性能・美音になったものだとお考えいただくのが良いかもしれない。

ニュートラル系とは述べたが、温度感は微寒色、明暗の次元で明、というのが正確なところかと思う。STEALTH Indra V.10をもう少し明瞭・暖色寄りにしたような音で、我々が知る限りでは最高に煌びやかな音。特に中〜高音域においては、シルバーのヌケとゴールドの暖かみが絶妙なコンビネーションをみせ、明るさ・艶感・粒立ちのいずれも見事。宝石に喩えるなら、上質なイエロー・ダイアモンドのよう。何より、この美音的要素が上述の剛健な音像と融合することで「実体感の強い美音」が現出することこそが、このケーブルの価値を高めている(NBSやアコリバのケーブルが煌びやかな美音であったなら、驚くに値するのではなかろうか?)。

これはTRANSPARENTでもNORDOSTでも、あるいはZenSatiでも確認できない麻薬的な個性であり、「基本性能や原音忠実とは別に、Armonicoは1セット所有しておきたい」と思わされる所以である。

[基本性能]

基本性能総合:ハイエンド上級

解像感:5

情報量:5

聴感S/N:4

情報コントロール力:4.5

周波数レンジ感:5

帯域バランス:5

汎用性:3.5

音の分離感:4.5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

上述したように、100万円クラスに分類可能なケーブルであり、特に音像表現を充実させるために必要な要素については、かなりハイレベルなケーブル。主として、解像感、周波数レンジ感、そして帯域バランスの3点に優れる。

まず各音像の解像感だが、これは高音域において特に良い。聴感S/Nの差を除けば、STAGE III GRYPHONばりに緻密・明瞭。銀素材の良さが出ている印象。ただ、ステージを音で満たすという意味での情報の量感は、Indra V.10やORIGOなどに劣る。

周波数レンジ感については、かなり下まで明瞭さをもって出してくる点を評価した。インパクトを保った音であり、最低域の伸びはTRANSPARENT OPUSJORMA PRIMEに及ばないが、STEALTH SakraZenSati Seraphimと同程度には出ている印象。

帯域バランスも良い。一聴すると低音域の強さが際立つが、一拍遅れて中〜高音域の明瞭さとスピード・キレに驚かされる。また、強めの低音域が中〜高音のスピードに追従できている点も、評価に値する。総じて、低・中・高と三様に強いためアンバランスとは思わない。

逆に残念な点は、聴感S/Nが今一歩である点。Seraphimのレビューでも述べたが、S/Nの悪さがプラスに働くことは基本的に無いため、純粋に改善を期待したい。

情報コントロール力は、個々の音像の実体感と音線の明瞭さを高める方向で発揮されているようだ。これは、NBS BLACK LABEL IIJPS Labs Aluminataなど、優れた音像型ケーブルに共通する能力で、解像感の良さ等の形で現れている。逆に、音像のインパクトをコントロールしつつ音場のバランス・形状を整える、といった働きは弱いようだ。音の分離などまるで気にしないと言わんばかりに、音像が前に出てくる。コントロール力自体は弱くないが、アプローチが音像重視である点は要注意。

総じて、Armonicoのサウンドはハイバランス・高汎用性とは一線を画す。むしろ、確固とした個性をもち、それを実現・強化するための各要素を特化させているという印象が強い(具体的には、銀・金・パラジウム合金からくる美音と、ソリッド・コアからくるインパクトの融合)。何でも屋とは言いがたいし、賛否両論あるだろうが、特にジャズのシンバルと女性ヴォーカルの魅力には、抗いがたいものがある。

[主な特徴]

Coming Soon.

[ポジショニング]

XLRケーブルならば、プリ・パワー間に接続するのが良いだろう。DAC・プリに入れるよりも、Armonicoのらしさ・魅力といったものがサウンドに反映されやすいためだ。

ただ、解像感と周波数レンジの広がり・バランスについては優れていると思うので、そういった部分を強化したい方は前段に入れてもよいだろう。

[主な比較対象]

STEALTH, Indra V.10(ライバル)

STEALTH, Sakra(格上のライバル)

STAGE III CONCEPTS, A.S.P. REFERENCE GRYPHON(格上のライバル)

NBS, BLACK LABEL II(ライバル)

JORMA DESIGN, ORIGO(ライバル)

JPS Labs, Aluminata XLR(格下のライバル)