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2本〜体制にて、モノパワーやバイアンプでの使用も推奨。

 

★概要

Flow Master Reference (フロー・マスター・リファレンス、通称FMR)は、デンマークのArgento Audio(アルジェント・オーディオ)が製造・販売している電源ケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。SILTECH Ruby Double Crownと並び、純銀導体の電源ケーブルとして世界でも屈指(私の予想では頂点)の存在である。以前、オーディオ目玉親父のmessaさんよりFMRをお借りする機会をたまわり、ファーストインプレッションを執筆した。その際にモノラル・パワーアンプの駆動に最適ではないかと思われたので、改めて筆者自身で2セット導入し、運用した。今回の本レビューでは、そのあたりの要素も交えて記述したい。尚、messaさんの「オーディオ目玉親父」にて、FMRを他のケーブルと聴き比べたレビューを掲載していただいたので、よろしければそちらも併せてご覧いただければ幸い。詳しくはこちら

[価格]

国内価格:不明

海外参考価格:4,272EUR/2m(Hi End Cable)

[Specification]

非公開

[参考サイト]

Argento Audio製品ページ

[外見・取り回し]

とにかく、白い。そして、美しい。多くを語る必要はないだろうが、ZenSatiのケーブルなどとは別の方向性で美しさを極めたケーブルだと感じる。筆者的に、ZenSatiで最も美しいケーブルはCherubだが、実際に見比べてみるとFMRもこれに劣らぬ美しさである。ただ、あらゆる意味で汚れに気を遣うのは事実。

取り回しは、はっきり言って楽ではない。根元の部分まで徹底してシールドしているあたり、初代BLACK LABEL(NBS)を彷彿させる。個人的には、A.S.P. KRAKEN(STAGE III CONCEAPTS)より若干楽な程度。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

ニュートラル型・寒色系のケーブル。パラジウム・銀ハイブリッドのKRAKENや銅・銀ハイブリッドのCherub(ZenSati)と比べると、よりシルキーでホワイトなサウンド高品位シルバーのなめらかさ・きめ細かさは、明確な統一感をもって全帯域に及ぶ。誤解を恐れずに喩えるなら、7N-PC9500(ESOTERIC)の銀線版を、更に1ランク高性能にしたモデル、といった感じだろうか。音色は、一聴して銀線だと分かるものだが、銀線のイメージとして語られるひりつきやギラつきとは全くの無縁。改めて導入し、そのなめらかさと聴き心地の良さには驚かされた。銀線を研究し続け、ネガを潰しに潰し、長所のみを引き出すとこうなるのであろう、と納得させられるサウンド。ただ、あくまで純銀線であるから、たとえば銅・金ハイブリッド線であるSeraphim(ZenSati)のようなウォーム感や、PLMM2X(TRANSPARENT)にあるような落ち着いたコッパーの陰影感を得るのは難しい。そのあたりは、きちんと理解・納得した上でチョイスする必要がある。

ステージ展開は、かなり絵に描いたようなニュートラル。例えばKRAKENOCEANIC STATEMENT(BMI)のような鬼の如き3D定位をするわけでもなく、逆にBLACK LABELEPIPHANY(ElectraGlide)のような音像の張り出し方をするわけでもない。ただ、強いて言うなら奥行き感よりも左右の広がりに長けるPLMM2XDEVICE 0(K. Racing Audio Design)に近い。広さ自体は価格に見合う。容積的にはPLMM2Xとほぼ互角。アレグロより一回り広く、BLACK LABEL III(NBS)よりも若干狭い感じだろうか。

ここに少し補足するならば、そのアグレッシブな低音域を挙げたい。低音域でも、特に低い帯域が勢いに溢れている。当サイトでもしばしば低音の「落ち方」に関して言及するが、深さは無論、これほどの落下速度で音を落とすケーブルは滅多にないDEVICE 0とは、このあたりの共通点もあって好敵手として語っているが、DEVICE 0にしたってここまで滑らかで美しい落ち方はしないものだ。強烈すぎる感はあるし、帯域バランスの観点からすれば賛否はあるだろうが、そのカリスマ性については認めなければならないだろう。

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:MAX

聴感S/N:5

情報コントロール力:5

周波数レンジ感:No.1

帯域バランス:5

汎用性:5

音の分離感:5

(評価:No.1>MAX>5>4.5>4>…>1)

基本性能は、文句無しに高い。性能・格共に、一聴してJORMA PRIME POWERより優れる。スピード感・リズム感やF特(周波数レンジ)を重視する評価基準であれば、KRAKENすら凌ぎNORDOST ODINと肩を並べても不思議ではない。CableFan.netの評価基準は、聴感S/Nと周波数レンジを最重視しており、アプローチの評価もコントロール型(音の分離・定位の精度・明瞭さ)>解放型(洪水のような情報量と音の伸び)であるため、PRIME POWER>FMRとなっているが、今回の結果から考えるに、この評価方法には限界があるのかもしれない。

FMRの強さの根源は「ポテンシャル」と「音の解放」だろう。実際に手に取ってみると分かるが、高品位シルバーの物量投入が、殆ど類をみないレベルのポテンシャルを生み出している(このポテンシャルは、機器の消費電力が大きくなればなるほど発揮される)。また、FMR、FLOW XLRと使ってきて感じるに、Argento AudioのサウンドはSILTECHのそれよりも更に解放的である。悪く言ってしまえば音の奔流をコントロールする意思が感じられないのだが、ことFMRにおいては、最低域・最高域共に音の伸びが他を寄せ付けないのと(CableFan.netで扱った範囲ではNo.1)、音のスピード感、特に低音域下半分の牽引力が凄まじく、これらの要素を渇望する者にとっては、デメリットは無に等しい。同様に解放感溢れるケーブルとして、電源ケーブルの7N-PC9500 MEXCEL、XLRのJORMA ORIGOを挙げたいが、FMRのポテンシャルと解放力は、これらを子供扱いするレベルである。

しかしながら、情報コントロール力が必ずしも低評価ではない点は、何だかんだ言っても聴感S/Nがある程度以上の水準であること(無論、KRAKENやPLMM2Xのようなトップクラスには劣るが)、ステージ(特に左右)が価格相応に広がり音の分離感が保たれていること、そして、深さ・量感共に他と懸絶した低音域でありながら、音のリズムがほぼ完璧であることに起因する。

帯域バランスについては、DEVICE 0に似て低音寄りであるものの、低音のみならず高音の伸びと中音の速度感も凄まじく、全帯域にわたって高い性能をキープしていることから、DEVICE 0よりも高評価とした。しかしながら、やはり低音は質・量共に尋常ではないので、システムによってはその処理に苦労するだろう。よって、その分だけ汎用性の評価は下げた。これほどまでに癖がなく、スムーズな銀線は類を見ないだけに、残念である。

[ポジショニング]

ファーストインプレッションでも、消費電力が大きい機器での使用を勧めたが、モノパワーでの使用を経て、その考えは強まりつつある。大型のAB級が相手でも、機器側の要求に応じて迅速且つ確実に電力を供給するが、元々の音色がクールなので、PASSのXAシリーズ等、暖色系の音を出すような大型のA級とは特に相性が良いように思う(管理人はXA160)。

一方で、音の最上流であるトランスポートでの使用も推奨可能だ。周波数レンジが極めて広大で、上から下までどんな細かい音でも拾ってくれるという信頼感がある。

逆に、プリ等に入れる場合は、ステージ展開と色彩感の観点から、STAGE III KRAKENやBMI OCEANIC STATEMENTの方が良い結果になるかも知れない。

[主な比較対象]

K. Racing Audio Design, DEVICE 0(やや格下のライバル)

STAGE III CONCEPTS, A.S.P. KRAKEN(ライバル)

ZenSati, Cherub(ライバル)

NBS, BLACK LABEL III(ライバル)

ESOTERIC, 7N-PC9500(格下のライバル)