1.業界最高レベルの音離れの良さ
予め申し上げておくと、ここでいう音離れというのは音像の分離であり、音色の分離(個々の楽器の音色を活かすということ)とは異なる。音色については、基本的に全ての音像をEPIPHANY色に染め上げるので、むしろ音色の分離は悪い。以下、本題。
このEPIPHANYの最大の特徴は、価格に対する桁違いの音離れの良さだと感じている。音離れの良いケーブルにもいくつかの種類があるかと思う。例えば、音場は広いが音像が細身で、結果として各音像が干渉しにくいNORDOST VALHALLAのようなタイプ。あるいは、音像を可能な限り静的に描写し、同時にS/N感を極限まで良くすることで音像の厚みと分離を両立したTRANSPARENT PLMM2Xのようなタイプなどだ。しかし、このEPIPHANYの場合、音場は狭く、前に張り出す上、音像も動的で厚みもあるのだが、何故か音の分離が良い。それも、際立って良い。S/N感も低くはないまでも、トラペPLMM2XやJORMA PRIMEのような際立ったノイズ対策力があるわけでもない。なぜこのような音作りが可能となったのか、技術者でない我々には知る由もないが、ごく狭い空間に厚みのある音像が立ち並び、それも不思議と干渉し合っていない様は見事だ、とだけ書いておく。S/N感などに比して情報コントロール力が高評価であるのも、この音離れの良さがゆえである。
2.明瞭さと反応速度に優れた中高~中低域
このEPIPHANYの中高~中低域は極めて明瞭である。色に喩えるなら、非常に明るいシルバーのような音色だと感じられ、銀線らしいギラつきも相まって相当なキレと鮮烈さがある。同時に、反応速度にも優れており(正確というより、とりあえずハイスピード)、したがってスピーディな打ち込みの再生は非常に明瞭で、爽快感がある。注目すべきは、音像の厚みが保たれていること。ハイスピード、明瞭、音の分離が良いというと、NORDOST VALHALLAやJORMA PRIMEがあるが、EPIPHANYの音像はVALHALLAのそれより厚みに富み、同時にJORMA PRIMEのそれを凌ぐスピード感を備えている。音色面の豊かさはさておき、打ち込みのキレと爽快感については、このEPIPHANYは世界でもトップクラスだといえるだろう。
3.帯域バランスの良さ
EPIPHANYの帯域バランスの良さは、下手なスーパーハイエンドのそれに匹敵する。低域は、厚み・インパクト共に相当なものがあるにも関わらず、キレがありハイスピードなキャラクターは、低域の強いケーブルにありがちな鈍重さやもたつきを排して余りあるし、低域が痩せ型のNODROST VALHALLAと大差ない。その結果だろうか、EPIPHANYの帯域バランスは非常に優れたものになっている。これについては、NBS BLACK LABEL IIやTRANSPARENT PLMM2Xよりも良いと感じる。上から下まで厚みの不釣り合いが少なく、フラットな印象が強い。お世辞にも使いやすいケーブルとは言えないが、この点については高い評価に値する。
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