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 ★概要

Electra Glide EPIPHANY(エピファニー)は、アメリカのElectra Glide Audio社の販売していた電源ケーブルである。Electra Glideのケーブルは主に前期の創世期シリーズと後期のEPIPHANYシリーズに分類されるが、今回紹介するのはそのEPIPHANYシリーズの方。また、EPIPHANYシリーズ自体にも複数のヴァリエーションが存在するが、主に分析の対象としたのは、最も音質に優れるとされる初代EPIPHANYである。したがって、以下のレビューは原則として初代EPIPHANYのそれであるとお考えいただいて差し支えない(X、X.2、X.3については、別項目で説明する)。

個性豊かな欧米のケーブルの中でも、際立って個性的なケーブルであり、既に無きメーカーの独特なビジネススタイルもあいまって、半ば伝説的な存在であり、コアなファンの間でも極端に賛否が分かれるケーブルである。

また、K’s Racing Audio社のDEVICEというケーブルと外見が似ているが、販売時期はEPIPHANYの方が先である。

[価格]

MSRP:7,000USD(実売価格は遥か下)

[Specification]

非公開

[参考サイト]

メーカーが倒産しているため、参考サイトはない。

[外見・取り回し]

2本のチューブを銀フォルムで束ね合わせた、非常に特徴的な外見のケーブルで、唯一無二の存在感を放つ。音作りのみならず、この外見についても賛否が分かれており、筆者が知る限りではどちらかといえば悪趣味だとする意見が多いが、格好が良い、あるいは高機能を感じさせると考える方もいるようだ。

取り回しはそこまで悪くはないが、いかんせん作りがチープなので、取り回す度に気を遣う。そのため、決して扱いやすいとはいえない。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

 音像型・寒色系。超の付くほどの音像型ケーブルで、音場の広がりなど気にも留めていないとすら感じる。シルバー・コッパー併用ケーブルだが、シルバーの支配力がコッパーのそれを上回っているためか、温度感は若干低め。また、同様にシルバー・コッパー併用のSTEALTH DREAMやBMI Hammerhead Silver Ml.5などよりも音に艶があり、ギラつきも強い(よって、僅かながら温度感も高い)。この点は一種の開き直りすら感じられ、むしろ積極的に個性として前面に出してくるEPIPHANYの音には好感が抱ける。

[基本性能]

基本性能総合:ハイエンド上級

情報量:4.5

解像感:5

S/N感:3.5

情報コントロール力:4.5

周波数レンジ感:4

帯域バランス:4.5

汎用性:1.5

音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

お世辞にもバランスが良いとはいえない音作りだが、基本性能は相当に高い部類に含まれ、ハイエンド上級に分類可能なケーブルの中でもトップクラスだと思われる。第一印象として情報量が際立っており、次いでその情報量を描き分ける情報コントロール力(特に音の分離)に良さに驚かされる。基本性能を追求するあまり音楽的なバランスの良さを犠牲にしている感は否めないのだが、これはこれで面白みがある。

[主な特徴]

1.業界最高レベルの音離れの良さ

予め申し上げておくと、ここでいう音離れというのは音像の分離であり、音色の分離(個々の楽器の音色を活かすということ)とは異なる。音色については、基本的に全ての音像をEPIPHANY色に染め上げるので、むしろ音色の分離は悪い。以下、本題。

このEPIPHANYの最大の特徴は、価格に対する桁違いの音離れの良さだと感じている。音離れの良いケーブルにもいくつかの種類があるかと思う。例えば、音場は広いが音像が細身で、結果として各音像が干渉しにくいNORDOST VALHALLAのようなタイプ。あるいは、音像を可能な限り静的に描写し、同時にS/N感を極限まで良くすることで音像の厚みと分離を両立したTRANSPARENT PLMM2Xのようなタイプなどだ。しかし、このEPIPHANYの場合、音場は狭く、前に張り出す上、音像も動的で厚みもあるのだが、何故か音の分離が良い。それも、際立って良い。S/N感も低くはないまでも、トラペPLMM2XやJORMA PRIMEのような際立ったノイズ対策力があるわけでもない。なぜこのような音作りが可能となったのか、技術者でない我々には知る由もないが、ごく狭い空間に厚みのある音像が立ち並び、それも不思議と干渉し合っていない様は見事だ、とだけ書いておく。S/N感などに比して情報コントロール力が高評価であるのも、この音離れの良さがゆえである。

2.明瞭さと反応速度に優れた中高~中低域

このEPIPHANYの中高~中低域は極めて明瞭である。色に喩えるなら、非常に明るいシルバーのような音色だと感じられ、銀線らしいギラつきも相まって相当なキレと鮮烈さがある。同時に、反応速度にも優れており(正確というより、とりあえずハイスピード)、したがってスピーディな打ち込みの再生は非常に明瞭で、爽快感がある。注目すべきは、音像の厚みが保たれていること。ハイスピード、明瞭、音の分離が良いというと、NORDOST VALHALLAやJORMA PRIMEがあるが、EPIPHANYの音像はVALHALLAのそれより厚みに富み、同時にJORMA PRIMEのそれを凌ぐスピード感を備えている。音色面の豊かさはさておき、打ち込みのキレと爽快感については、このEPIPHANYは世界でもトップクラスだといえるだろう。

3.帯域バランスの良さ

EPIPHANYの帯域バランスの良さは、下手なスーパーハイエンドのそれに匹敵する。低域は、厚み・インパクト共に相当なものがあるにも関わらず、キレがありハイスピードなキャラクターは、低域の強いケーブルにありがちな鈍重さやもたつきを排して余りあるし、低域が痩せ型のNODROST VALHALLAと大差ない。その結果だろうか、EPIPHANYの帯域バランスは非常に優れたものになっている。これについては、NBS BLACK LABEL IIやTRANSPARENT PLMM2Xよりも良いと感じる。上から下まで厚みの不釣り合いが少なく、フラットな印象が強い。お世辞にも使いやすいケーブルとは言えないが、この点については高い評価に値する。

[ポジショニング]

非常に明確なキャラクターのケーブルであり、使用頻度・使用箇所が限られるのが現実であろう。使いこなすのは難しく、上級者向けのケーブルだと思われる。また、EPIPHANYのノイズ対策力からはあまり想像できないのだが、アースラインを搭載していないという噂(※。それなりに確度が高い)があるので、アースが前提の機器には使わない方が無難かもしれない。

※実際に分解したわけではなく、内部構造も非公開なので詳しくは不明。

お勧めするポジションは、デジタル系かプリアンプ。それも、サブとして持っておき、相性の良いジャンル・曲の再生時に引っ張り出してくるという使い方が理想だと感じる。極めて癖が強いケーブルであるため、メイン使用のリスクは高い。また、パワーアンプに使うとなると、NBS BLACK LABELやSTAGE III CONCEPTS ZYKLOPなどに力負けする印象を受けるし、壁に使うとせっかくの個性が死んでしまい、面白くない。

尚、このEPIPHANYについて、基本性能が高いため壁やパワーに使用したほうが良い、という意見があるが、筆者は反対である。確かに、ワイドレンジ・情報量多かつ音の分離も良いことから、音場を潰すことなく基本性能の向上を実感できるのだが、その代償として音色面の原音忠実性と音場の広がりが失われる。上でも述べたが、メインでの使用はリスクが高い。なまじ中古価格がミドルエンド並みに安いので、このクラスのユーザーにとっては非常に魅力的な存在だが、いろいろな意味で麻薬的かつ劇薬的なケーブルなので、導入を検討する際は細心の注意が必要になるだろう。