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★概要

ZenSati Angel(エンジェル、電源ケーブル)は、デンマークのZenSati(ゼンサティ)社が製造・販売している電源ケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。兄貴分であるSeraphim(セラフィム)Cherub (チェラブ)と共に、現在のZenSati社の中核ラインであり、Seraphimの導体が銅線に金メッキ、Cherubの導体が銅線に銀メッキという仕様であるのに対し、Angelは無メッキ銅線である。

[価格]

国内価格:875,000円(1.0m)

[Specification]

非公開

[参考サイト]

ZenSati 製品ページ

[外見・取り回し]

Seraphimのコッパー仕様といった外見で、ゴールドやシルバーのSeraphimCherubと比べると、やや渋めの外見。XLRが自社製のプラグに変更されたのに対し、電源ケーブルはFURUTECHのカーボンを使用している。XLRほどではないが、やはり一目で「銅ケーブルだ」と分かる外観。

取り回しに関しては、Cherubとほぼ同様であるため、詳しくはそちらを参照。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

音場型・ニュートラル系のケーブル。微寒色のCherub ACと比べるとややウォーム。全体的に、Angelの方が抜き身でストレートな音という印象。明暗の次元では、ややライト。好敵手としては、(トータルとしてやや格下だが)同様に純銅線のESOTERIC 7N-PC9500やBMI Piranha Reference(ピラニア)が挙げられるだろうが、これらと比べても明瞭な音ではないだろうか。特にピラニアに比べると、一聴して開放的な高音である。NORDOST VALHALLA並のヌケの良さと、JORMA PRIME並のエッジコントロール力が同居している模様。ZenSatiの格の高さを感じる。中音は、9500やピラニアと比べると、ややあっさりした印象がある。ピラニアはBMI的な濃さと温度感の高さで、9500はセンターの張り出しと音像の実体感で、それぞれヴォーカルを引き立てるが、Angelの場合はスピードと開放感が武器なので、ソースによっては迫力が不足するので、別の部分で補う必要があるだろう。もっとも、それならより安価な9500を入れた方が良い気はするが。

基本的にはCherubと同型であり、ステージ展開や帯域バランスをはじめ、多くの要素について共通点を感じる。XLRのレビューでも述べたが、圧倒的なステージの広がり感と溢れんばかりの情報量については、ZenSati3兄弟に共通する要素である模様。XLRについてはOPUSのような別格が存在する他、インドラPRIMEなど、100万円クラスでも錚々たる面々がひしめくが、電源ケーブルの分野におけるZenSati3兄弟の強さは、一聴しても相当なものだと感じられる。特に、サウンドステージの広がりと情報量については、CherubとAngelは知る限り無敵であり(KRAKENを凌ぐ)、長兄のSeraphimともなれば更に上をゆくと思われる(もっとも、電源ケーブルで100万近い実売価格というのは世界的にも希有なので、当然と言えば当然かもしれないが)。

まだまだその全貌を理解するには至っていないが、今後が楽しみなケーブルであることは間違いない。特に、JORMA PRIMEとの比較については、きちんと結論を出した上で追記する必要があるだろう。

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:5

情報量:MAX

聴感S/N:4.5

情報コントロール力:4.5

周波数レンジ感:5

帯域バランス:MAX

汎用性:5

音の分離感:4.5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

ZenSati 3兄弟の中でも、純銅線を地でいっているAngel。Cherubほど情報の量感に特化しているわけではないにせよ、他社のフラッグシップとの比較においても、情報量では一枚上をゆくケースが多い。その他、サウンドステージの広げ方や音像表現におけるアプローチは、Cherubに近い。これは導体の構造が強く影響している部分だと感じられるので、Cherubのレビューも参考にしてほしい。

ノイズ対策力については、Seraphim XLRCherubのレビューでも述べた通り、単体でのクオリティではKRAKENPLMM2XPRIME POWERをはじめとする他社のスーパーハイエンドに劣るように感じる。が、ZenSati本社もそのことは重々認識していたようで、ここにきてケーブル・リフターなるアイテムを発表してきたことは、特筆すべきである(画像は、某氏のメールより引用)。他社のケーブルとも併用可能なアイテムであるため、純粋に自社ケーブルの競争力のみを高めるものではないのだろうが、ユーザー目線の良心的なアイテムといえる。

広帯域ながら、低音の量感が抑えられている点は、昨今のトレンドに則ったものであると感じる。リーマン以後、NORDOST ODINやZenSati Seraphimを筆頭に、広帯域を誇りながらも低音多寡にならないような設計のスーパーハイエンドケーブルが増えてきているように感じているが、このAngelもその1つ。WILSON AUDIOの上位機種など、ナチュラルに低音域が強力なシステムに組み込んだとしても、低音域の暴走を抑制しつつサウンドのクオリティを高める。低音域の暴走は、10~20万円程の国産ミドルエンドから世界のハイエンドに乗り換える際にしばしばネックとなる問題で、それに対する回答という意味も含めて人気を誇ったのがNORDOST VALHALLAだったと認識しているが、ZenSati 3兄弟は更に上の、ODINに迫らんとする領域でそれをやってのける。銅線に銀コーティングのCherubは、ODINを強く意識したモデルであると考えられるが(画像)、それだけではなく、Seraphim、Cherub、Angelと、サウンドに幅をもたせている点はZenSatiのユーザーフレンドリーな点だと言えよう。但し、最低域の量感とクオリティについては、KRAKENArgento FMRといった低域重視のケーブルには劣るので、その点は認識しておくべきだろう。

Cherub同様、音色面の汎用性に優れるPRIME POWERBLACK LABEL IIIと比べても、癖が小さく使いやすい。この「使いやすさ」は、ZenSatiのケーブルが世界に誇れる点であると感じる(特にSeraphimは、XLRケーブル・SPケーブル共にずば抜けている)。但し、総じてライトなサウンドで、ダークネスの追求には向かない点は留意すべきだろう。

[ポジショニング]

 JORMA PRIMEや BMI Piranha Referenceなどと同様、デジタル系など、小電流機器において真価を発揮する印象。特に、トランスポートでの使用は推奨。純銅線として、総合力はピラニアや9500よりも優れており、JORMA PRIMEと双璧をなす印象。逆に、パワーアンプの場合、STAGE III KRAKENTRANSPARENT PLMM2X、あるいはNBS BLACK LABEL IIIの方が、SPを駆動しょうとするという意志が強いようには感じる。キャパシティの問題からしても、パワーアンプ用途でこれらと競合させるのは得策ではないだろう。

[主な比較対象]

ZenSati Cherub AC(兄貴分)

BMI Piranha Reference(格下のライバル)

ESOTERIC 7N-PC9500(格下のライバル)

JORMA PRIME(ライバル)

STAGE III, A.S.P. KRAKEN