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★概要

Allegro電源ケーブル(通称:アレグロ)は、JVC XRCDプロデューサーの田口晃氏が、SCC社(LA,USA)のBrent Schoenfeld氏と共同開発した電源ケーブルである。詳しくはプロメディア・オーディオ㈱のページをご覧いただきたいが、このAllegroは音響のプロが現場で使用することを想定して設計・開発されており、その安定感や癖のなさは、アマチュアをメインターゲットとした各種ケーブルとは確かに一線を画しているように感じる。詳しくは音質レビューのコーナーで述べたいが、発売から10年近く経った今でも、ケーブル界トップクラスの実力を備える電源ケーブルといって差し支えない実力派である。Allegroと名のつく電源ケーブルには、バランス機材向けのグランド・オンとアンバランス機材向けのグランド・リフトがあるが、今回使用したのはグランド・オンの方。

[価格]

国内参考価格:367,500円(定価は不明)

[Specification]

詳細は非公開。ただし、プロメディア・オーディオ㈱のサイトには、重さ3kg、直径40mm、長さ2mとある。

[参考サイト]

プロメディア・オーディオ㈱のページ

[外見・取り回し]

その優等生的な音作りとは対照的に、お世辞にも取り回しが良いとは感じられない構造である。まぁ、見た目を裏切らないとでも言うべきだろうか・・・。曲がりにくいというわけではないのだが、ケーブル自体が非常に重く、ちゃちなタップやコンディショナーに刺そうものなら、ボックスごとひっくり返りかねない。そのため、運用には非常に気をつかう。

外見は、中央が太く両端は細いという、Purist Audio Design(PAD)のDominus以来の高S/N設計に則ったもので、音の面でもライバルにあたるNBS BLACK LABEL IIとはなかなかによく似た外見をしている(Allegroの方が若干、細身)。

★音質レビュー

[概要・タイプ]

音像型・暖色系の雄であり、力強い生命感を備えた音像が魅力的である。また、汎用性の高さは特筆すべき(詳細は後述)。ステージ展開についてはある程度の方向性はあるものの、音色面における癖の少なさは、BMI OCEANIC STATEMENTや、ライバルにあたるNBS BLACK LABEL IIも遥かに凌ぐ。

また、音像型ケーブルのほとんどは、音像の迫力を求めるがあまり音場の広がり、特に前後感を犠牲にしてしまうが、このAllegroにあっては前後を含めたステージ展開もさほど犠牲とされていない点は特筆すべきであろう。

[基本性能]

基本性能総合: スーパーハイエンド

解像感:5

情報量:4.5

聴感S/N:5

情報コントロール力:5

周波数レンジ感:5

帯域バランス:5

汎用性:No.1

 音の分離感:5

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

基本性能は全ケーブルの中でも極めて高い部類に含まれ、スーパーハイエンドと評するに相応しいものだと感じられる。また、単に能力が高いのみならず、各項目の大半がバランスよく高水準であり、極めて使い勝手の良いケーブルに仕上がっている。

まずもって、汎用性の高さは際立っている。一聴して、伊達にプロ御用達なわけではないことが分かる。本項目については、STAGE III KRAKENとの優劣を付けかねているが、仮にKRAKEN以下だとしてもNo.2であるのは確かだ。あちらは純粋に高性能・高ステージ再現力ゆえにシステムやポジションを選ばないが、このAllegroは基本性能こそKRAKENに劣るものの、ことアコースティックの音色・質感の再現力については、TRANSPARENT POWERLINK MM2Xと並び、我々の知るケーブルの中で最も優れる

次いで、聴感S/Nを評価したい。これも、プロの現場では必須の能力であることから、シールドの設計にもかなり力を入れているようだ。決して意図的にメリハリを“演出”するタイプではないが、ノイズフロアが下がることで勝手に音のメリハリが出てくるような感覚を味わえる。こういうのを自然な音というのだろうなぁ、などと感じ入った。

周波数レンジ感と帯域バランスも悪くない。超低域の深さこそBLACK LABEL IIIOCEANIC STATEMENTに及ばないが、中低以下の周波数帯域について、厚み・速度感等の足並みが揃っていてハイバランス。汎用性の高さに寄与している。ただ、全体として見れば、やはり少々ピラミッドバランスであるとの指摘は可能だろう。

[主な特徴]

1.中域の生命感と汎用性

Allegroをレビューするにあたってまず言及したい点が、中域の充実である。ヴォーカルは生命感に富み、明るく快活な様が印象的である(ライバル関係にあるNBS BLACK LABEL IIと比較すると顕著である)。厚みと解像感が高次元で両立されており、質感は非常になめらかだ。また、(これは全帯域について言えるが)音色面でのアコースティックの再現力に優れる。聴感S/Nの良さがボディブローの如く効いており、(この際だから言ってしまうが)かさついたCD音源にアコースティックの潤い・生々しさを付加するにはうってつけ。そのため、クラシック・ジャズからポップに至るまで、非常に幅広いジャンルで高度な再現力を発揮する。強いて言うなら、ロックやメタルなどにあるようなダークな曲は、快活になりすぎて風合いが出にくいため、苦手かもしれない。

2.重厚感とスピード感を両立した低域

中低域と並ぶAllegroの持ち味として、その低域のスピード感がある。Allegroの低域は音像型ケーブルの中でもトップクラスの重厚感を誇るが、同時に音像型トップクラスのスピード感をも備える。低域がAllegro並に重厚なケーブルというと、たとえばBLACK LABEL II初代BLACK LABEL、あるいはKubala-Sosna Elation!Magic GEM v2tなどがあるが、Allegroの加速はこれらのいずれよりもスムーズ・なめらかである(メルセデスSクラスの大排気量モデルのような加速感と安定感)。

ライバルであるNBS BLACK LABEL IIと比べると、Allegroが中低〜超低域についてハイバランスで均質な加速をみせるのに対し、BLACK LABEL IIは超低域のパワー感とグリップ力でもって他の帯域をグイグイと引っ張るイメージ。

3.音像表現と音場表現の両立

上でも少し述べたが、このAllegroは音像型ケーブルでも最高クラスの音像表現力を誇りながら、同時に音場展開もぬかりない。音像型でありながら、ニュートラル型のSynergistic ResearchのHologramシリーズElectra Glide FATMAN 2000 GOLDよりも明らかに広く、そして濃密な音場を展開し、同時に各音の分離感や前後感も十分なものがある。もう少し奥行きがあればOCEANIC STATEMENTNBS BLACK LABEL IIIに並べただろうが、音像表現力と汎用性の高さ、そして聴感S/Nの良さを考慮すれば、10年前のケーブルにそこまで望むのは野暮であろう。

[ポジショニング]

このケーブルの存在意義は、トップクラスの基本性能と汎用性の高さ、そして生命感溢れる音像の再現力にあると感じる。

第一に推奨するポジションはパワーアンプ。大電流のポジションに向いているケーブルであり、ハイパワーのアンプに対しても悠々と電力を供給する印象だ(前述した低音の速度感が存分に堪能できる)。あるいは、Allegroの優れたノイズ対策力の恩恵を被りたい方は、このAllegroを最上流(壁)に使用した上で、好みに合わせて個性的なケーブルをデジタル・プリなどに配置するのがよいだろう。あるいは、全ての電源ケーブルをAllegroで統一するというのも面白いだろう。我々はまだ試したことはないが、アコースティックの音色・質感を十全に引き出したい場合、正しい選択肢の1つになり得るのではないかと感じている。