IMG_3355IMG_3777IMG_3791IMG_3789

 

★概要

A.S.P. REFERENCE GRYPHON(グリフォン)は、アメリカのSTAGE III CONCEPTSの製造・販売するインターコネクトケーブルであり、同社のフラッグシップモデルである。

現行は、両端にHyperionと呼ばれるコネクターを接続したモデルであり、カーボンファイバーによる制震の他、素材・構造も一から自社開発しているなど、プラグ部の作り込みについては世界でも殆ど類を見ない水準となっている。加えて、被覆の工夫などによるノイズ対策は同社が以前から得意とするところであり、Hyperion搭載のA.S.P. Referenceモデルに至り、同社は世界でも最高クラスのノイズ対策力を実現したと言えるだろう。

余談だが、代理店が存在しないためか国内での知名度は極めて低くなっているのに対し、海外での知名度は比較的高いようで、中古市場でもちょくちょく出回っているようである。しかし、定価の高さに加えて実売時の値引き率も小さいせいか、特にHyperion搭載の新型は中古でもなかなかに高価なのが実情であるようだ。

[価格]

M.S.R.P.: 9,000USD (1.5m pair)

[Specification]

A.S.P. REFERENCE GRYPHON interconnects employ 6 silver/palladium alloy AeroStrand Ultra™ conductors in a twin twisted pair geometry. Dielectric inner core tubes contain a semi-vacuum, drawn to 675mmHG.100% radiation invulnerable shielding uses exclusive H.D.A.(High Density Alloy) foil plus nickel plated copper braid. Multi-layer construction with silica/ceramic/ferrite mechanical damping/shielding layer. Dual cryo-treatment.Available single ended or balanced with custom handmade polymer-filled, carbon fiber plug housings which help eliminate external vibrations. Exclusive Hyperion Ceramic plugs with Pure Silver electrical contacts and Cryo-treated, (custom made by Stage III Concepts).

[参考サイト]

http://www.stage3concepts.com/PRODUCTS_Gryphon_page.htm

[外見・取り回し]

STEALTHのSakraやIndra、あるいはZenSatiのSeraphimなどとは違った方向性でありながら、負けず劣らずの美しさを誇ると思われるケーブル。ブラックの被覆を纏った線体を、同様にブラックのパーツとカーボンファイバーが彩る。NBSのBLACK LABELなどと同様に、少なくともヤワな音ではなさそうだということは容易に想像できるが、実際ヤワな音ではない(後述)。

取り回しについては、どうしても重さからくるタフさがある分、STEALTH SakraやJORMA PRIMEなどと比べるとハードだが、全体的にしなやかで曲がりやすい構造をしているため、初代BLACK LABELなどと比べると扱いやすい。

 ★音質レビュー

[概要・タイプ]

音像型・微寒色系のケーブル。TRANSPARENT OPUSやJORMA PRIMEなどと同様に、音像表現・音場展開の双方において卓越した力量を発揮するケーブルであるが、このGRYPHONおいては特に各音像の精度・定位感に優れるため、音像型と評した。ライバル的存在であり、音場型であるSakraとは対照的だと思っている(先に述べておくと、我々のサイトではこのGRYPHONをSakraと同格かつ対照的な方向性を備えたケーブルとして位置づけており、(ライバルとは多少異なるが)比較対象とすることが多い)。

まず音場展開であるが、左右よりも前方に深い展開をするように感じる。JORMA PRIMEに近い形だが、PRIMEよりも若干深いだろうか。音像型にありがちな、像が前へ前へと張り出すタイプではない。その意味で、一聴しての像の厚みやヴォリューム感はNBS BLACK LABEL IIやPurist Canorusなどの方がある。しかし、箱無しにも関わらず最高クラスのS/N感と明瞭で歪みを感じさせない精緻な高音、そして躍動感のある低音ゆえ、ステージが広がったところで像の存在感は霞まず、総合的な実体感ではNBSやPurist(PAD)のケーブルを凌ぐと感じる。漆黒から一音一音が立ち上がる様は見事。何より、強音のみならず弱音(主に高音)について、繊細さと実体感を両立している点は特筆に値する。弱きは弱きままにクッキリハッキリなのだ。これは、並大抵のダイナミックレンジではなし得ない。この卓越した高音描写の巧さは、我々がGRYPHONを数ある音像型ケーブルの中でも最高クラスの一角と評する背景となっている。

音色は微寒色系。以前は寒色と評価したが、STEALTH INDRAやSILTECH SNOW LAKEときちんと聴き比べた結果、主に中〜低音域の熱気が保たれていることが分かり、微寒色と再評価した。一方で、高音はSTEALTH Sakra以上、SILTECHやArgento Audioのケーブルと同等にクール。ノイズの少なさもあり、明瞭でピシッとした音である。ArgentoやSILTECHとは別の方向から銀素材の良さを引き出し、同時にその欠点をうまく克服した成功例と言えよう。尚、中〜低音域については、NBSやShunyata Researchにあるような超熱血というわけではないので注意。むしろ、一見してクールでありながら、内側に闘志を秘めた人間、といったきらいのある、したたかな音調。音像の立体感や艶感は十分。これも全てS/N感の良さがなせる技。話を戻すが、銀素材の使い方についてはSILTECHに次ぐ巧さがあると感じる。パラジウムとの組み合わせ方もそうだが、物量も相当なものなのだろう。精度や質感のみならず、音色的にも嫌み・臭みの殆どない高音は特に見事(裏を返せば冷徹)。また、低域の方がパラジウムの影響から躍動感があり、(暖色ではないのだが)エネルギッシュでありハイスピードだと感じる。ただし、NBSのように低音域が厚みを増すタイプではない。むしろ、既に十分な低音の量感が確保された上で、そこに躍動感を付加するタイプ。ハイレベルなケーブル。

総じて、シルバー線とカーボン素材の有効活用による高精度・高S/N・広ダイナミックレンジを基調とし、そこにパラジウム線による艶感・躍動感が加わることで、銀線にありがちな音場の広がり・情報量一辺倒の低完成度とは一線を画す、スーパーハイエンドに相応しい完成度の高さを実現している。

[基本性能]

基本性能総合:スーパーハイエンド

解像感:MAX

情報量:5

S/N感:MAX

情報コントロール力:MAX

周波数レンジ感:4.5

帯域バランス:5

汎用性:5

音の分離感:MAX

(評価:MAX>5>4.5>4>…>1)

ZenSati Seraphim、JORMA PRIME、STEALTH SAKRAなどと並ぶスーパーハイエンドの一角。中でも、最高レベルのS/N感と情報コントロール力が織りなす音像表現(上で評価した分離感も含む)は別格。測定し、数値化したわけではないがS/N比、ダイナミックレンジ、歪率といった、オーディオの基本に対して忠実な印象を強く受ける。

まず情報に関しては、量的なものよりもコントロール等の質的なものを重視しているためであろうか、Sakraと比べると聴感上の情報量について若干劣る。パラジウム線の影響だろうが、音像の引き締めと実体感が高まっているため、あまり音が拡散しない印象。垂れ流していない、と言うべきか。だが、(特に高域の)解像感についてはずば抜けたものがあり、これはJORMA ORIGOを明確に凌ぐ水準にある。

情報コントロール力が非常に高く、SakraやPrimeを凌ぎ、頂点であるOPUS MMに追随する。特に、各音像の分離感と定位感についてはずば抜けており、OPUS MM以外に敵は見当たらない。特に、繊細な高音と厚みのある中音が、殆ど混濁なく音場に共存している様は見事。抜群のS/N感がバックボーンとなっている模様。

一方で周波数レンジについては、Sakraなどと比べて低域方面が少々狭い印象を受ける。跳ね上がるような躍動感を大切にしたいためか、下まで落とし過ぎないようにという意図は感じられるが、BMI OCEANIC STATEMENTのように最低域まで落とした上で思い切り跳ね上げるケーブルもあるため、性能の観点からいえばそちらの方が高評価である(※)。また、帯域バランスについては、主に音色面で中域の存在感と独立性を出せれば、Primeと並べた(ヴォーカルの熱気はもう一歩、出したい)。量的にはフラットなのだが、質的にはやや中音域が弱い、といったところか。評価が難しい部分ではある。

汎用性については、ひとつひとつの基本に対し忠実で、ハイバランスで完成度が高い点については評価し得る。ただ、シルバー・パラジウムという導体の構成では高品位の銅ほどはアコースティック楽器とヴォーカルの温度感を出し切れないことから、Sakraなどと同様、ZenSati SeraphimやJORMA PRIMEと比べて低めの評価に落ち着いていた。しかし、ここにきてS/Nの重要性を再認識したことから、少し評価を上げることにした。全ては、S/Nありきだろう。※その後、NORDOST ODINと比較した結果、汎用性は再評価した。

※ちなみに、STAGE III CONCEPTSのラインナップには、A.S.P. REFERENCE KRAKEN(クラーケン)という電源ケーブルが存在し、こちらは十二分に広帯域なケーブルであるため、周波数レンジの改善は技術的には可能だと思われる。

[主な特徴]

1.圧倒的な情報コントロール力

2.抜群の精度を誇る(中〜)高音

3.優れた躍動感を誇る低域

4.打ち込み系の再現力

[ポジショニング]

予め申し上げておくと、どのインコネをどこに入れるのがベストな選択肢であるかは、一般論以上に具体的なシステム構成からお考えになるべきで、こちらでの説明はあくまでついでのものであることをご理解願いたい。以下、本文。

 GRYPHONの特徴は、一に高い基本性能、二に打ち込み系その他の表現の巧さだと思うので、これらを活かせるポジションに入れるべき。我々が運用した限りでは、得意なジャンル・曲の再生時にはプリ・パワー間に持ってきて、それ以外の場合はDAC・プリ間に配置しておくのが、最も良さを引き出せる使い方であったと思う。

[主な比較対象]

STEALTH Sakra(ライバル)

JORMA PRIME(ライバル)

ZenSati Seraphim(ライバル)

NBS BLACK LABEL II(格下のライバル)

TRANSPARENT OPUS MM

JORMA ORIGO