筆者ロメオにとって、2015年は印象深い1年になった。ここでは、特に印象深かった3つの出来事について、綴ってみたいと思う。

★Spectral/MITシステムの構築

2015年のオーディオライフにおける最大の出来事は、SpectralとMITケーブルを中軸としたシステムを確立したことである。昨年、少し古めのSpectralをプリ・パワーのセットで中古にて入手。MITを用いることなく他社のアンプと並行して使用し、その音に惚れ込んだ結果、DMA-360 Series 2とMIT ORACLE MA-X2を買い求めるに至った(※1)。Spectralのアンプは「MITインターフェース(ケーブル)とのマッチング」を極めて強く推奨されており、ケーブル好きとしては当初こそ「TRANSPARENTやStage iii Conceptsだっていいじゃないか」と反論したくなったものだが、現在となってはMITとのマッチングは音質的に不可欠だと痛感するに至っている(※2)。

※1私はAVALONユーザーなので、低域を補強する意味合いから敢えてSpectralブランドのMIT線ではなく本家MITのものを導入したが、Spectralの推奨する範囲内だと認識している。

※2但し、とある技術屋の方から、シールド(耐ノイズ)が十分なケーブルであれば、故障の原因となることは無いとの見解を賜っている。したがって、故障云々についてはビジネス上の言い回しだと思っている。

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Spectralの機器は、AVALON、WILSON AUDIO、MAGICOについては開発現場がリファレンスとしていることで有名だが、これらに限らず音場重視のスピーカー(たとえばPIEGAなど)との相性は抜群だと思われる。好みの問題はさておき、現時点における「オーディオの終着点」のひとつと称される実力は伊達ではない。音場派の筆者としては、AVALON DIAMONDも含め、ひとつの境地に達した2015年であった。

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余談だが、2015年の後半は、レビューを書く手が止まった時期でもあった。後述するが、Spectral/MITシステムが真価を発揮するにつれて、ケーブルの単体レビューを書くことへの疑問が膨らんだのは事実である。MITに関していえば、Spectralとの相性がレビュー上の前提になるのは間違いなく(少なくとも筆者にとっては)、その前提ではトラペのOPUSといえどMIT相手には分が悪い。OPUSの実力は、PASSを使用していた時に思い知っているし、ほぼ全てのケーブルを相手に頭一つ抜けた振る舞いをし続けてきたケーブルであるから、Spectralでの比較をもって一概に「ORACLE MA-X2はOPUSより優れる」とは書きたくなかったのである。そんな2015年後期であった。

 

★各社の新フラッグシップとの出会い

2015年は、世界中のケーブル屋が一斉に新機種を発表した年でもあった。ミュンヘンのHI-END 2015をレポートしたことは記憶に新しいが、まさにフラッグシップ総入れ替えとでもいうべき年だったといえよう。特に、ODINとODIN 2の比較は、ショウの現場でもはっきりと違いが聴き取れたことから思い出深いし、拙宅でもOPUS PCとA.S.P. Leviathanを聴き比べたことは記憶に新しい。

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(写真はNORDOST ODIN 2)

入手したものも未だ入手できていないものも多々あるが、ひとつ感じていることとして、特に性能の面でケーブルというコンセプトは突き詰められつつあることだ。大して長く生きているわけではないと断った上で述べるなら、高級ケーブルの歴史はPAD DominusやトラペReferenceあたりから始まったような気がするが、その歴史もひとつの区切りを迎えようとしているのではなかろうか(このあたりも、後述する)。

 

★DEVIALET社ショールームへの訪問

この夏、パリにあるDEVIALET(デビアレ)のショールームを訪問する機会をもった。遊びに行っただけなので偉そうなことは書けないが、DEVIALETのPHANTOMというスピーカーに感動した。

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このPHANTOMは、厳密にはピュア向きのスピーカーとは言い難い。現時点では低音過多のきらいがあるし、何よりサウンドステージのリアリティを突き詰めるのは難しそうだと感じるからだ(オーナーではないし、ショールーム自体のチューニングもさしたるものではなかったので厳密なことは言えないが、ほぼ同環境でDEVIALET 250がドライブするKEF Blade(?)の音と比べても、そう感じた)。

しかしながら、日本円にして50万円としないスピーカーからあのサウンドが出てくることは、驚嘆に価する(音源にされていたiPadの価格は除く)。ピュアでそれなりのシステムを組めば500万円は下らないことを考えると、PHANTOMの低音域は価格破壊とすらいえるだろう。ウーファー周りの制振はおどろくべき水準に到達しており(一触の価値アリ)、コンパクトな筐体にも関わらず強力な低音と明瞭な中・高音が共存している。再生帯域も16Hz~25Hzと十分で、実際に聴いてみてもきちんと下まで出ていると感じられた。

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現時点でも、既存のハイエンドオーディオのコンセプトに一石を投じるスピーカーだが、キャビネットの改良が更に進み、優れたサウンドステージを展開する上位機種がリリースされた場合、ピュアの世界を震撼させる可能性は高いだろう。勝手な想像だが、制振に関しDEVIALET社はMAGICO以上の技術をもっていると感じるし、(カスタマー目線の)費用対効果に関しては献身的な姿勢を貫いていることから、今後も目が離せない。