9-8

こちらで私・ロメオのメルマガを紹介したついでではありますが、こんなものを書いております、というサンプルを少しばかりアップすることにしました。こちらは、最近お送りした第009号の内容になります。尚、本文で登場するNORDOST ODIN XLRは、2ヶ月ほど前に導入したばかりであり、まだ使いこなしは十分と言えません(CableFan.netではレビューしていない)。したがって、信憑性については他の比較よりも劣るとお考えください。以下、本文。

 

ーーー週刊ケーブル第009号ーーー

『週刊ケーブル』をお読みの皆様、こんにちは。CableFan.netの管理人を務めます、ロメオです。本日も、わたくしの勝手気侭なるメルマガをお読みくださり、誠にありがとうございます。

さて、最近は事あるごとに雨天で、湿度も高い日が続いておりますね。いかんせん空気が重いため、B&W 800Dユーザーの私としては普段にも増して、ウーファーをスピーディに駆動するためにあれこれと工夫をしておる次第です。私は現在PASSのXA160を使っておるのですが、雨期限定でPASSのX600.8あたりが欲しくなってしまいます。

そんなわけで、ケーブルでの良し悪しについても普段に増してはっきり感じられる日々です。個人的に驚くのが、ArgentoのFMRをはじめとする銀線のスピード感です。特にFMRは桁違いで、純銀線の中でもスピード感はずば抜けています(比較対象は、Acoustic ZenのAbsoluteSynergistic ResearchのTesla Hologram)。中〜高音域のみならず、低音域の速度感も卓越している点は、下位の価格帯では見られない特徴です。その他ですと、FMRに次いでK. RacingのDEVICE 0とNORDOSTのODINがスピーディな印象ですね。これらは、銀と銅のハイブリッドだと思われます(DEVICE 0については、正確な部分は不明)。反対に、思った以上に速度感が落ちているのが、銅をメインとするケーブルたちです。空気が軽い場合は目立たなかったものに関しても、僅かなリズム感のズレなどが出てきており「ああ、シビアだな」などと感じます。思った以上に奮戦しているのが、白金属を導体に用いているSTAGE III KRAKEN(銀・パラジウム)とBMI OCEANIC STATEMENT(プラチナ)で、これらについてはあまり大きな変化を感じないといったところです。まぁ、このあたりは細かい話につき私の空耳なのやも知れませんが、皆様の参考になれば幸いです。

さて、第009号では以下の内容を扱います。

・メーカー別レビュー連載・第8回「ZenSati台頭の立役者・Seraphim②」

・世界のケーブル直接対決・第7回「日本の銅線は世界に通用するのか!? ⑤アレグロ電源ケーブル vs. 世界のトップエンド」

余談になりますが、新たに登録をされた方でバックナンバーをご希望になられる方がいらっしゃいましたら、メールにてご一報ください(メルマガは返信可です)。お送りします。

 

ーーーメーカー別レビュー連載・第8回「ZenSati台頭の立役者・Seraphim②」ーーー

今回も、前回に引き続きZenSati3兄弟の長兄・Seraphimをレビューします。

 

本題に入る前に、先日、オーディオ目玉親父のMESSA様にSeraphimをお貸しする機会があり、Seraphimに関するレポートをいただきました。MESSA様は素晴らしいシステムと数多くのハイエンドケーブルを所有しておられ、そのコレクションの中にはCrystal Cable Absolute DreamのACXLRなど、まだ私が知らないものも含まれていますから、大変参考になりました。簡潔ながら素晴らしいレビューにつき、読者の皆様にも紹介したいと思います。

http://messa.air-nifty.com/blog/2014/07/zensati-seraphi.html

 

それでは、MESSA様に続く形で、わたくしもSeraphimを他のケーブルと比較してゆきたいと思います。

 

1.ZenSati Seraphim vs. ZenSati Angel

ZenSati3兄弟の長男と三男の比較。尚、Seraphimはプラグが自社製になる前のフルテック版である。一方で、AngelはZenSatiの自社製プラグを搭載したもの。

結論から言えば、汎用性以外の基本性能はほぼ互角。しかし、Seraphimの方が音色が自然で使い易いSeraphimの音にはアレグロ的な温度感と柔らかさがあり、生楽器の音色に忠実であるのに対し、Angelは7N-PC9500にあるような弩ストレートなサウンドで、録音に忠実だと感じられる。おそらく、オーディオ的にはAngelが正しいが、ピュア的にはSeraphimの方が良い働きをする場面が多かろう

ところで、値段改定と共に装備されたZenSati社の自社製プラグだが、私としてはその効能に疑問を呈さざるを得ない。偽物対策も兼ねて自社プラグ搭載という手法はよくあるが、私見ながら音質が改善された様子はないので、そのために価格を大幅に引き上げるのは如何なものか(今回のZenSatiの値上げは世界的なものだったようだ)。個人的には、Seraphimの性能は200万円/m(定価)でも妥当なので、できれば100万円クラスで頑張ってもらい、このクラスのレベルを引き上げて欲しかった。

9-8
2.ZenSati Seraphim vs. STAGE III A.S.P. GRYPHON

いろいろな意味で、極めて対照的な2本である。したがって、良し悪しの観点からこの2本に優劣を付けることは愚かしい。尚、Seraphimは銅線に金メッキ、GRYPHONは銀・パラジウム合金線である。

まず、両者共に音場展開力は最高級の実力を備えるSeraphimにあるサウンドステージの広がりや、GRYPHONにある前後感と高音の定位感の良さは、共にNORDOST ODINを凌ぐ水準にある。Seraphimは聴感S/Nや音の分離は二の次に、音の開放感とスケール感で勝負し、GRYPHONは上下・左右の広がりではSeraphimに及ばないが、優れたS/Nからくる音の明瞭さと分離感の良さで勝負する。

明暗は、Seraphimがライト、GRYPHONがややダークである。温度感も、Seraphimはアレグロに迫る高さなのに対し、GRYPHONはやや低く、OPUSやODIN同様ニュートラルに近い。尚、GRYPHONの中音域は絶妙。ダークながらも内側にエネルギー感を含んでいるようなヴォーカルは、NBSのBLACK LABEL IIIに近いかも知れない。ただ、自然さと扱い易さならSeraphimが上だろう。

総じて、細部よりも全体の広がりとスケール感を志向される方にはSeraphimを、音の分離や音像定位といった性能面のしたたかさをシステムに付加したい方にはGRYPHONを、それぞれ勧める

9-8

3.ZenSati Seraphim vs. NORDOST ODIN

新進気鋭のZenSatiと大御所たるNORDOSTのフラッグシップ対決である。

どちらも最高クラスのケーブルではあるが、基本性能はODINがやや上。ステージの広がりと情報量だけを見ればSeraphimだが、ローノイズ、音の分離や音線の明瞭さ、上から下までフラットな帯域バランス、等々、ケーブルが果たすべき役割に忠実なのはODINの方だろう。また、音のスピード感・制動について、圧倒的な差がある。ODINをスタンダードとしてシステムを構成すると、Seraphimに換えた途端、音が響く。

現時点で、優れた部屋・SP・アンプをお持ちで、ケーブルによるステージ拡張または生命感の改善が必要ないならば、ODINを選択すべきだろう。

一方で、Seraphimのサウンドにある生々しさについては評価すべきだろう。今回のレビューで比較している5本の中で、最も生々しいサウンドを奏でるのはSeraphimOPUSだと感じる。音の潤いについてはGRYPHONも良いが、Seraphimにある熱気とOPUSにある音像の実在感は格別なものがあると言えよう。

9-8
4.ZenSati Seraphim vs. Transparent Opus MM

世界のケーブル界をリードするTRANSPARENT OPUSと、Seraphimの比較。

基本性能はOPUSが上。SeraphimとODINの比較時以上に差を感じた。一聴しての魅力はSeraphimも相当なものがあるのだが、聴き込むと相応の差を感じる。OPUSは、Seraphimの生々しさに加え、ODINに迫る音の分離感とODINを凌ぐ聴感S/Nの良さを備えている。ステージ自体はSeraphimの方が広がるが、OPUSも最高クラスに広いのと、聴感S/Nの良さと音像定位の良さを考えると、OPUSの方が音場の完成度が高い。ただ、スピード感・リズム感については、ODINとの比較時ほどは差を感じない。この点について、ODINは既存のあらゆるケーブルを凌駕している。強いて言うならば、SeraphimOPUSよりも軽やかかもしれない。

上述した通りどちらも生っぽいサウンドだが、Seraphimの方が暖色寄りでライトな音色OPUSは、Seraphimと比べるとややダークで、貫禄がある。何にも動じないような安定感が、絶大な信頼感の源となっているのだ。

総じて、ライトで軽快なサウンドを好まれる方にはSeraphimを、それ以外の方にはOPUSを勧める。尚、OPUSの低音の強さを警戒し、その結果としてSeraphimを選ばれるのは危険だと言えよう。Seraphimの低音域は重さこそないものの、深さも量感も決してやわなものではないため、ご注意あれ。

9-8
●次号では

本号までは長兄Seraphimについて論じたが、次号では次兄Cherubの電源ケーブルについて、他社のトップクラスとの比較を通じてその効能を論じる。

 

ーーー世界のケーブル直接対決・第7回「日本の銅線は世界に通用するのか!? ⑤アレグロ電源ケーブル vs. 世界のトップエンド」ーーー

前号では、7N-PC9500と並ぶ国産の雄・アレグロについて、NBS BLACK LABEL IIをはじめとする同格のケーブルを比較対象として論じ、その実力を論じた。本号でも引き続き、JORMA PRIMETRANSPARENT PLMM2Xなどのライバル的存在との比較を行い、最後にSTAGE III KRAKENとの比較を通じて、ケーブル界におけるアレグロの立ち位置を総括する。

1.アレグロ vs. JORMA PRIME POWER

JORMA DESIGNのフラッグシップモデルとアレグロの比較。尚、筆者はこの比較を通じて、アレグロが世界に通用するケーブルであると確信した。

どちらも、基本性能と音楽性を極めてハイレベルで両立している銅ケーブルで、バランスの良さについては世界でもトップレベルの存在である。細部をみるならば、JORMA PRIMEはそのローノイズと音の緻密さからトランスポートやDACへの送電を、アレグロは大電流送電時の安定感からパワーアンプへの送電を、それぞれ得意とする

両者の特徴はプリアンプでの使用時に最も顕著に見受けられ、PRIMEでは前後感の良さに加えて情報量と音離れの両立が、アレグロでは低音域のスムーズさと音像の迫力が、それぞれ感じられる。帯域バランスはJORMA PRIMEの方がフラットだと感じられる(ODINに近い鳴り方)が、アレグロの低音域は自然な表現であると同時になめらかでもたつかないため、いずれも違和感は僅少である。ただ、低音域の下半分についてはPRIMEの方が解像度が高いとは感じた。

サウンドのスピード感はほぼ互角か、ややアレグロがスムーズPRIMEの方が、かっちりとしたサウンドで、一音一音の立ち上がり・立ち下がりは正確だが、アレグロの方が音の繋がりと低音の制動が自然。PRIMEは良くも悪くもストイックなサウンドだ。

全体的な質感として、アレグロの方が自然なサウンドであるJORMA PRIMEは、ORIGOにあるカサつきと脱色感をクァンタムピューリファイアーの効力で打ち消し、艶と生命感を出している。この試みは成功していると言えるが、真に自然なアレグロとの比較においては、その人工的な質感が際立つ。

ベストポジションが全く異なるため、一概に優劣で語るのは難しいと感じる。パワーアンプ用途であれば文句無しにアレグロを勧めるが、デジタル系であればPRIMEの良さが光る局面が多い。ただ、PRIMEの癖がどうしても好きになれない方は、デジタル用途でもアレグロの方が良かろう。

9-8

2.アレグロ vs. TRANSPARENT Powerlink MM2X

TRANSPARENTのフラッグシップであるPLMM2Xは、PRIMEと並ぶ箱付き銅線の雄であり、ライバル的存在だと言える。聴感S/NについてはPRIME以上のものがあると感じられ、ODINやKRAKENと並べても微塵も劣らない。桁違いなコスパも手伝い、最も優れた選択肢の1つであり続けている。

基本性能はほぼ互角。どちらも、低音域の安定感についてはケーブル界でも屈指の銅線である。PLMM2Xの方がよりどっしりと構えている印象で、それと比べるとアレグロはややスポーティな印象がある。低音の深さは、アレグロの方が若干深い。PLMM2Xは、このあたりはきちんと詰める必要がある。

ヴォーカルはアレグロの方が質・量共に優れる。逆に、音離れはPLMM2Xの方が良いので、そのあたりが重要なソースではPLMM2Xオーケストラやビッグバンドではどれだけ音数が増えようとも、全く問題にしない。高音域は、PLMM2Xの方がクールで繊細。アレグロはややマイルド。

全体的にPLMM2Xの方がダークなサウンド。トラペらしい音だと言える。対してアレグロはウォームかつライト。

使い分ける際または選ぶ際には、ジャンルによって決定するのが良いだろう。ヴォーカル(特に女性)やライトなジャズにはアレグロを、クラシックやダークなジャズにはPLMM2Xをそれぞれ勧める。一概に言えないが、ロックは昔のも最近のもPLMM2Xの方が雰囲気は出るだろうが、高音がキツ過ぎる場合はアレグロが良い。このあたりはシステムに依存する。尚、ポジションはどちらも、パワーアンプでの使用に適していると感じる。

9-8
3.アレグロ vs. STAGE III A.S.P. KRAKEN(クラーケン)
アレグロレビューの締めを飾るのはSTAGE III CONCEPTSのフラッグシップたるKRAKEN。どちらも、High Current Cable(大電流用)であり、パワーアンプでの勝負になる。

基本的な方向性が被っているだけに、性能面で優れるKRAKENの優位が際立つ。一点豪華主義的なケーブルであれば一矢報いたのかも知れないが、バランス型のアレグロにとってはあまりに分が悪い比較であった。ステージの広がり、ノイズフロア、解像感、音の分離感、等々についてKRAKENはアレグロを凌駕している。が、アレグロが勝る部分が無いわけではない。それは、音の明るさ・生命感についてである。

これらに関して、アレグロKRAKENよりも豊かである。KRAKENは真にニュートラルだが、アレグロは音の生命感を前面に出してくる。音が嫌みのない活力を醸してくれるアレグロは、貴重な存在である(この点については上述のZenSati Seraphimに関しても言える)。また、KRAKENの前後が極めて広大である点も、(結果として)アレグロが2D的な迫力でKRAKENに勝る要因となっている。さすがのKRAKENでも、OCEANIC STATEMENTばりの3次元空間とアレグロばりの迫力を両立するには至らなかったらしい。

使い分けについては、他を犠牲にしてでも熱気や迫力を出したい一部の曲以外は、KRAKENがよいだろう。無論、アレグロの良さというのはあると思うが、KRAKENを使用できる立場にあるならば、アレグロは売却し、JORMA PRIMEあたりを導入した方が幅は広がると思われる。

9-8
●次号では

本号までは国産の電源ケーブルを代表する7N-PC9500 MEXCELとアレグロについて、個別で論じてきた。次号ではそれを踏まえ、日本の電源ケーブルが世界に通用するか否かについて、結論を述べたい。

 

ーーーお読みいただき、ありがとうございましたーーー

この度は、わたくしの長々としたメルマガを最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。ご感想などおありでしたら、是非とも寄せてやって下さい(我ながら、その方が長続きすると思うのです)。ここは違うのではないか?あるいは、こういう部分についてもっと詳しく聞きたい、等々なんでも歓迎です。皆様のリアクションを心よりお待ちしています。

さいごに、皆様の中に、このケーブルとこのケーブルの比較について、レビューしてほしい、等のリクエストがおありの方がいらっしゃいましたら、どうぞ遠慮なくお申し付けください。リクエストがあったものについては、優先的にレビューしてゆきたいと思います。

ーーー週刊ケーブル第009号ーーー

以上、本文。