勢いで書いたNORDOST ODIN 2のレポートに続き、ここからは個別のケーブルについて紹介してゆきたいと思う。が、その前にHIGH END 2015を通じて筆者・ロメオが感じたことを綴っておきたい。

オーディオファイルであれば誰しも、一度くらいは「究極のケーブルとは何か?」という疑問を持つことだろう。無論、理論上の理想値はあるとして、それは未だ実現されていないものであろうし、故に何を捨て何を取るかという選択は、デザイナーにとっては重要な判断だと思われる。

長きにわたるその歴史の中で、オーディオ分野におけるケーブルの研究は、大いに進められてきたと言えよう。その歴史を思えば、私がケーブルに凝り始めたのはごくごく最近と言えるだろうし、ゆえに歴史上の多くの出来事を当事者として語り得ないことは、重々承知している。

しかしながら私は、2015年という年は「究極のケーブル」を追求する全ての人にとっての新たな時代の出発点になったと確信している。それは、採算を限りなく度外視してでも「究極のケーブル」を追い求めるスーパーハイエンドケーブルのジャンルにおいて、多くのブランドが、それも現時点における最高峰と評しても差し支えないブランドの大半が、新たなフラッグシップを発表してきているからである。

「最高峰のケーブルメーカー」が新たに「最高のモデル」を発表した事実は「ケーブルができること」の範囲が拡大されたことを意味する。私は、自身の経験を通じて幾度となく「ケーブルができること」の範囲の広さに驚かされてきた。初めてTRANSPARENT OPUSのサウンドを耳にした際は、ケーブルによって斯くもノイズを低減できるものかと感動したし、ZenSati Seraphimのサウンドを耳にした際は、スピーカー後方の壁面が溶けてなくなったかのようなステージの広がりに圧倒された。これらは奇跡でも何でもなく「ケーブルができること」に他ならない。

そんなTRANSPARENTが、ZenSatiが、NORDOSTが、あるいはSILTECHが、一斉に新たなフラッグシップを投入してきたのが2015年である。言い換えるなら彼らは、これまで不可能だったことも「新たなケーブルならできる!」と宣言しているのである。そして私は、これは最前線の前進に他ならないと考えている。オーディオケーブルはまた一歩、究極へと近づいたのだ。

次回以降は、前回のNORDOST ODIN 2に引き続き、HI END 2015における他社の動向についてレポートを試みる。尚、音ではなく外見に関する考察がメインになることは、あらかじめご了承いただきたい。ODIN 2については、デモでの比較対象である初代ODINを自己所有した経験があったので音についてもある程度理解できたが、他のブースではNORDOSTのような比較試聴をやっていたわけではなかったため、音についてはよく分からなかった。今更ではあるが、今回のショウで改めて実感したことを踏まえ、ここで一句。「ケーブルは、聴き比べると、よく分かる」

尚、アイキャッチ画像はtjoonz.com様より拝借いたしました。